肥満を表す指標は多くあるが、どの指標が最も強く心血管疾患危険因子と関連するかは人種や年齢により異なる可能性が指摘されている。日本人高齢者における、体格指数(Body mass index(BMI)(kg/m2))、ウエスト(WC)(cm)、ウエストヒップ比(WHR)、ウエスト身長比(WHtR)、CTによる腹部脂肪面積(総脂肪面積(total fat area;TFA)、内臓脂肪面積(visceral fat area;VFA)、皮下脂肪面積(subcutaneous fat area;SFA)、単位はいずれも(cm2)と心血管疾患危険因子(高血圧、糖尿病、低HDLコレステロール血症、高トリグリセリド(TG)血症)との関連を検討した。運動教室に参加した251名の高齢者の心血管疾患危険因子の保有状況を調査し、心血管疾患危険因子の保有数別に、各肥満指標の平均値を比較した。また、各肥満指標を四分位にした際の、心血管疾患危険因子2個以上の保有頻度の差異を検討した。さらに各指標のうち、心血管疾患危険因子2個以上の保有に最も強く関連する因子をロジスティック回帰分析により検討し、強く関連した因子の閾値を求めた。検討した各肥満指標の平均値は、心血管疾患危険因子の保有個数により異なっていた。各肥満指標は高いほど心血管疾患危険因子を2個以上保有との関連が強く、肥満指標のうち、WCが心血管疾患危険因子2個以上の保有に最も強く関連した。WCの閾値は男性で85.5cm(感度66%、特異度69%)、女性で75.5cm(感度80%、特異度55%)であった。(著者抄録)