2012年3月
原爆生存者の歯エナメル質を用いたESR計測からの臓器線量換算
Radiation Protection Dosimetry
- ,
- 巻
- 149
- 号
- 1
- 開始ページ
- 67
- 終了ページ
- 70
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- DOI
- 10.1093/rpd/ncr408
原爆被爆者の歯エナメル質のESR計測に基づく、臓器線量等の評価に必要な換算について解析した。ここでは、以前に放射線輸送計算で光子のエネルギー及び人体への入射方向を変化させた種々の被ばく条件を想定し、算出した歯エナメル質と臓器線量の換算関係を適用した。以前の計算解析では、歯エナメル質線量が他の臓器線量よりも、150keV以下の低エネルギー光子被ばくでは顕著に高くなることを示した。しかし、広島原爆での発生光子について評価されているエネルギースペクトルについては300keV未満の光子の寄与が小さく、歯エナメル質の線量が他の臓器線量あるいは全身線量と近い値になることが明らかとなった。原爆線量評価(DS86, DS02)での臓器線量の計算解析に用いた人体モデルに歯は含まれていなかったが、評価対象としていた甲状腺の線量は、300keV以上の光子の人体への入射方向に対する依存性がエナメル質の線量に近く、ESR計測の結果への関係付けが期待されることを示した。また、原子力機構で開発した高分解能の日本人モデルについて、歯エナメル質の線量解析への適用の有効性を検討した。
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- DOI : 10.1093/rpd/ncr408
- ISSN : 0144-8420