論文

査読有り 筆頭著者
2014年3月

インド北東地方の生態環境と多民族社会 : アッサム州ブラマプトラ川渓谷の事例より

広島大学現代インド研究 : 空間と社会
  • 浅田 晴久

4
開始ページ
29
終了ページ
40
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.15027/41514
出版者・発行元
広島大学現代インド研究センター

本稿はインド北東地方,アッサム州ブラマプトラ川渓谷低地部における多民族社会の存立要因について,地域固有の生態環境とそれを基盤とした生業活動の観点から明らかにすることを目的とする。ミクロレベルの生態環境と対応させるために,既存研究で利用されてきた県・郡単位の統計データではなく,村落レベルのセンサスデータと現地の聞き取り調査を組み合わせて民族別の村落分布状況を調べた。その結果,調査対象としたブラマプトラ川渓谷東部のロキンプル県では生態環境の差異に応じて各民族がゆるやかに住み分けていることが判明した。各民族が居住する村落周辺の生態環境の差異は村落構造のみならず生業活動にも影響を与えている。アホムとミシン,スティヤという異なる民族の村落での観察により,生業活動の季節差,必要労働力の差,土地利用の差を利用する形で,人・家畜の往来,労働サービスの提供が村落間で生じていることが分かった。従来のアッサム州社会の研究では各民族の固有文化や社会慣習,宗教などが注目されていたが,新たに生態環境を基に地域を捉え直す視点を導入することで多民族社会の存立要因を明らかにし,現代的な課題の解決に貢献できる可能性があると思われる。本稿の一部は科学研究費補助金・特別研究員奨励費「地域防災力の向上に向けた民族知の評価に関する研究-インド・アッサム州の事例から-」(研究代表者:浅田晴久,課題番号11J00348)を使用した。なお、本稿の骨子は2012年度日本地理学会秋季学術大会(2012年10月,於・神戸大学),IGU 2013 Kyoto Regional Conference(2013年8月,於・国立京都国際会館)にて発表した。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.15027/41514
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/120005860071
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AA12523588
URL
http://id.ndl.go.jp/bib/025454461
URL
http://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/00041514
ID情報
  • DOI : 10.15027/41514
  • ISSN : 2185-8721
  • CiNii Articles ID : 120005860071
  • CiNii Books ID : AA12523588

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