ラマン分光法とX線吸収分光法による二酸化ウランの酸化状態分析
日本放射化学会第63回討論会(2019)
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- 開催年月日
- 2019年9月
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 開催地
- いわき
- 国・地域
- 日本
原子力発電用の燃料として用いられている二酸化ウラン(UO$_{2+X}$)は、不定比化合物であり、ウランの酸化状態がわずかに異なる場合がある。また、酸化されることによりその安定性が変化するため、福島第一原子力発電所の廃炉において、事故で発生した燃料デブリ等のウラン酸化物の酸化状態を把握することが必要である。本研究では、微量の試料でウランの酸化状態を判別する手法の開発を目的として、ラマン分光法及びX線吸収分光法を用いた状態分析を検討した。経年UO$_{2}$のX線吸収端近傍構造スペクトルの吸収端を新規合成UO$_{2}$と比較したところ、高エネルギー側にシフトしたため、経年UO$_{2}$は4価よりも酸化されていると判別できた。また、新規合成UO$_{2}$と経年UO$_{2}$のどちらも、二酸化ウランの蛍石型結晶構造に由来する447cm$^{-1}$, 1150cm$^{-1}$のラマンピークが観測されたが、447cm$^{-1}$のラマンピークに対する1150cm$^{-1}$のラマンピークの強度比は新規合成UO$_{2}$の方が大きく、ウランの酸化状態の変化を反映した。これらの結果から、両分光法を用いた微少試料の分析により、ウラン酸化物の不定比性を判別可能であることが示された。