2017年4月 - 2021年3月
腫瘍内不均一性を反映する新たな薬剤感受性評価システムの構築
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
- 課題番号
- 17K11669
- 体系的課題番号
- JP17K11669
- 担当区分
- 研究分担者
- 配分額
-
- (総額)
- 4,550,000円
- (直接経費)
- 3,500,000円
- (間接経費)
- 1,050,000円
- 資金種別
- 競争的資金
近年,上皮間葉転換(EMT)や腫瘍内に存在するEpCAM陽性の癌幹細胞様細胞(CIC)およびエクソソームが,薬剤耐性等の腫瘍抵抗性に関与することが示唆されている.本課題では,口腔扁平上皮癌(OSCC),去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)および転移性大腸がん(MCRC)における腫瘍抵抗性に着目し,「腫瘍内不均一性を反映する新たな薬剤感受性評価システム構築」を進めている.H30年度は,① 転移性の異なるOSCC細胞株に由来するエクソソームのプロテオミクスを実施し,がん細胞生存因子HSP90AlphaおよびHSP90Betaを同定し,臨床検体データベース解析により予後予測バイオマーカーとしての可能性を示した. ② OSCC細胞に由来するエクソソームは,OSCC細胞のEMTを促進しただけでなく,正常口腔上皮細胞株のEMTをも誘導したため,エクソソーム中に癌化因子が含まれると考えられた.OSCCエクソソーム誘導性EMTは,抗EGFR抗体薬セツキシマブによって一部阻害できたものの,セツキシマブがOSCCエクソソームとともに分泌されるという新規薬剤耐性機構を発見した.③ OSCCとCRPCに共通の腫瘍抵抗性分子基盤として,細胞外HSP90の分泌およびEpCAMエクソソームの増加が判明した.④ 単層培養と比較し,生体内腫瘍微小環境を如実に再現しうる腫瘍オルガノイドの作製を進めている.MCRCオルガノイドでは多剤耐性遺伝子ABCG2 / BCRP発現上昇と同時に脂質排出ポンプABCG1の発現上昇を認め,ABCG1によるエクソソーム脂質排出はMCRCの抵抗性および腫瘍形成能を上昇させることが判明した.またマイクロアレイデータベース解析から,ABCG1発現上昇がCRPC,OSCC,および乳癌の予後不良と相関し,予測因子として有用である可能性を示唆した.
- リンク情報
- ID情報
-
- 課題番号 : 17K11669
- 体系的課題番号 : JP17K11669