共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2021年3月

酸化グラフェンの圧力効果を利用した機能制御と高機能性磁性材料への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業  特別研究員奨励費

課題番号
19J11651
体系的課題番号
JP19J11651
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
2,300,000円
(直接経費)
2,300,000円
(間接経費)
0円

本年度は、酸化グラフェン(GO)層間に担持するPCPナノ粒子の合成およびハイブリッド体の基礎物性測定を行った。スピンクロスオーバー(SCO)現象を示すHofmann型配位高分子{Fe(pz)[Ni(CN)4]}(pz = pyrazine)のナノ粒子を作成し、磁気測定を行ったところ、鉄(II)イオンに由来したSCO現象が観測された。このナノ粒子をGO層間へ担持させたGO-PCPハイブリッド体を作製し、赤外吸収分光(IR)測定、粉末X線回折(PXRD)測定、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察などの各種測定を行うことにより目的の化合物の同定および層間へ担持されていることを確認した。このGO-PCPに対して同様に磁気測定を行ったところ、PCPナノ粒子に由来する磁気ヒステリシスを伴ったSCO現象が観測された。このGO-PCPに対して熱還元処理を行うことによって、還元型酸化グラフェン(rGO)とのハイブリッド体であるrGO-PCPを作製し、IR、PXRD、SEMによって、GOが十分に還元されていることを確認した。作製したrGO-PCPに対して磁気測定を行ったところ、同様の磁気ヒステリシスを伴ったSCO挙動が観測されたことに加えて、スピン転移温度の上昇が観測された。これらはrGO層間に生じた圧力効果がPCPナノ粒子のスピン転移温度を上昇させたと考えられ、SCO現象を示すGO-PCPおよびrGO-PCPハイブリッド体の作製および、そのスピン転移温度制御に成功した。また、GO層間への担持を目的とした、外場刺激応答性単核金属錯体の開発にも着手しており、溶媒分子に依存したスピン転移挙動を示す単核鉄(III)錯体および単核Co(II)錯体の合成にも成功した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19J11651
ID情報
  • 課題番号 : 19J11651
  • 体系的課題番号 : JP19J11651