共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2023年3月

苦悩と癒しからみる社会・人間関係の諸相-東アフリカ沿岸部の事例から

日本学術振興会  科学研究費助成事業  特別研究員奨励費

課題番号
21J40001
体系的課題番号
JP21J40001
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
3,640,000円
(直接経費)
2,800,000円
(間接経費)
840,000円

1年目にあたる本年度は、新型コロナウィルス感染症の影響により、ザンジバル(タンザニア連合共和国)での調査が実施できなかった。そのため、当初の研究計画を大幅に変更し、国内においてこれまでの内容を再度考察・分析することによって研究を行った。
まず、前年度までのイスラーム世界における共生の知恵に焦点を当てた共同研究の成果である。論文“The Thought of Coexistence on Tariqas on the East African Coast”では、主に19世紀後半以降、東アフリカ沿岸部においてタリーカ(スーフィー教団)が根付き、多様な人々の共生に貢献したことを明らかにした。その中で、女性たちも積極的にタリーカの活動に関与したことも示した。これまでの研究において、タリーカが伝統医療にも関わり、人々の癒しの側面も担っていることを明らかにしている。そのため、今後の研究としては、女性のタリーカの活動を切り口として、苦悩と病の癒しについて考察することも可能であると考える。タリーカを中心としたコミュニティ形成も、人間関係を明らかにする上で、重要な要素であると考える。
社会還元事業としては、オンライン講演会「今日のスーフィズム:神秘主義の諸相を知る」(Sophia Open Research Weeks 2021)において、「社会に息づくスーフィズム:東アフリカ沿岸部の事例から」というタイトルで発表した。本講演会では、スーフィー教団が東アフリカ沿岸部にもたらした共生の知恵について説明した。イスラームの共生の知恵が、日本国内においても多様なバックグラウンドを持つ人々と暮らすために、どのように活かすことができるか、という点についても今後考察していきたい。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21J40001
ID情報
  • 課題番号 : 21J40001
  • 体系的課題番号 : JP21J40001