2017年
気候変化による作物収量変化を通じたマクロ経済への影響
土木学会論文集G(環境)
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- 巻
- 73
- 号
- 5
- 開始ページ
- I_397
- 終了ページ
- I_405
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.2208/jscejer.73.I_397
- 出版者・発行元
- 公益社団法人 土木学会
将来の気候変化による作物収量の変化は,土地利用,農業部門の生産量や価格,さらにマクロ経済へと影響する.これまで,経済モデルを用いた研究では食料価格や食料安全保障については豊富に研究が存在するが,マクロ経済影響についてはあまり研究が蓄積されていない.そこで本研究では,最も先進的な全球収量モデルのひとつであるCYGMAモデルと経済モデルであるAIM/ CGE,土地利用分配モデルであるAIM/ PLUMを用いて,気候変化による作物収量のマクロ経済への影響を明らかにした.その際,土地利用変化による適応策,社会経済条件,CO2施肥効果,気候モデルの不確実性などできる限り,マクロ経済に影響を与える因子と不確実性を扱った.その結果,CO2施肥効果や土地利用適応策は,マクロ経済への影響は必ずしも明瞭な違いを生まず,他の部門(例えば健康影響や洪水被害など)の気候変化の経済影響より小さかった(0.02-0.06%).しかし,人口増加が大きく低所得といった悲観的な世界のシナリオの基では十分に他部門と比較可能となる大きな影響(0.6%)が出ることが分かった.これは悲観的なシナリオでは農業部門の付加価値のGDPに占める割合が相対的に高く,同じ気候影響下でも被害額が大きくなることが主たる原因と考えられた.
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.2208/jscejer.73.I_397
- CiNii Articles ID : 130006309634