2018年4月 - 2022年3月
主体的・対話的な学びのための哲学・倫理学教育の実践的研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
本研究の目的は、①主にアメリカとドイツの哲学・倫理学教育研究のうち特に主体性と対話の生成に関わる論点を取り上げ、それを理論・事例・方法論の面から体系的に考察すること、そして②学校や地域との連携により、①の研究で得られた内容の実践的適用を試み、既存の制度や状況を脱構築しつつ、「主体的・対話的で深い学び」を実現しうる哲学・倫理学教育のあり方を提示することである。
2年目である2019年度は、まず研究①において、哲学対話のメンタリティとして欠かせない「知的安心感」の生成を臨床心理学的・教育学的・哲学的アプローチにより解明することを試みた。特にT・ジャクソンやJ・セイックラの研究を参照し、対話における知的安心感が、不安の排除ではなく、現れ、傷つきやすさの相互開示、真理を語る勇気=危うさの引き受けといった、不安定な主体性の活動性により成立している点に注目した。また前年度に引き続き、言述におけるロゴスの根源的作用を考察するために、ドイツの言語哲学者J・ローマンのテクストの翻訳を手掛けた。
研究②としては、前年度に引き続き新潟県内の小・中・高等学校、地域と連携し、哲学対話を導入した道徳教育、課外授業、学級・学校・コミュニティづくりの可能性を実践的に模索した。前年度に比べて実施回数や連携校、参加人数が飛躍的に増加したことは、本研究活動の社会貢献上の一定の成果であると言える。本年度のフィールドワークで特に重視した課題は、知的安心感の経験的な諸条件を分析することである。結果的に、主題への親密度、正解がない問いの開放性、発言義務がないことなどからくる心理的自由さが大きな要素であることが確認されたが、制度面のみならず、人間関係やファシリテーションといった内面的・技術的・存在的な側面に基づく知的安心感についてもさらに分析を加える必要があると考えた。
2年目である2019年度は、まず研究①において、哲学対話のメンタリティとして欠かせない「知的安心感」の生成を臨床心理学的・教育学的・哲学的アプローチにより解明することを試みた。特にT・ジャクソンやJ・セイックラの研究を参照し、対話における知的安心感が、不安の排除ではなく、現れ、傷つきやすさの相互開示、真理を語る勇気=危うさの引き受けといった、不安定な主体性の活動性により成立している点に注目した。また前年度に引き続き、言述におけるロゴスの根源的作用を考察するために、ドイツの言語哲学者J・ローマンのテクストの翻訳を手掛けた。
研究②としては、前年度に引き続き新潟県内の小・中・高等学校、地域と連携し、哲学対話を導入した道徳教育、課外授業、学級・学校・コミュニティづくりの可能性を実践的に模索した。前年度に比べて実施回数や連携校、参加人数が飛躍的に増加したことは、本研究活動の社会貢献上の一定の成果であると言える。本年度のフィールドワークで特に重視した課題は、知的安心感の経験的な諸条件を分析することである。結果的に、主題への親密度、正解がない問いの開放性、発言義務がないことなどからくる心理的自由さが大きな要素であることが確認されたが、制度面のみならず、人間関係やファシリテーションといった内面的・技術的・存在的な側面に基づく知的安心感についてもさらに分析を加える必要があると考えた。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K12179