共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

定量プロテオミクスによる代謝制御機構の解明と有用物質生産酵母構築への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K04851
体系的課題番号
JP18K04851
配分額
(総額)
4,550,000円
(直接経費)
3,500,000円
(間接経費)
1,050,000円

これまでに行った検討から、ワイン酵母株は実験室酵母株(BY4739)と比較してエタノール生産能力が弱く、TCAサイクルが活性化していた。そこで2倍体実用酵母株6種と実験室株を同一条件で培養し、対数増殖期および定常期の菌体からタンパク質を抽出した。トリプシン消化したペプチドサンプルをLC-MS分析に供し、中心代謝・タンパク質ホメオスタシス・細胞骨格に関する281個のタンパク質を定量するMRMメソッドを用い、ターゲットプロテオーム解析を行ったところ、196個の定量に成功した。データの比較解析から、発現量のバラつきが大きいタンパク質群を調べると、「細胞骨格」などではなく「ピルビン酸代謝プロセス」など、代謝に関わる機能をもつことがわかった。次に各実用酵母化株で増加、減少している酵素タンパクを同定した。特に、中心代謝のタンパク質発現では、実験室酵母BY4947は解糖系で全体的に発現量が大きくなった。ワイン酵母ではTCA回路のタンパク質発現量が増加した。清酒酵母とワイン酵母の発酵能とタンパク質発現プロファイルを比較すると、ワイン酵母は酸化的リン酸化が活性し、TCA回路の発現量増加はワインの品質に影響を与える有機酸の合成と関連があると考えられた。
異なる代謝状態の酵素発現プロファイル比較から、代謝フラックス変化に寄与する反応を直接的に推定する方法論、および酵素発現量の実測値を酵素反応速度式に直接代入し、速度論モデルを用いた代謝シミュレーションから制御機構を解明する方法論の開拓を試みた。今年度は代謝シミュレーションを行うために必要な酵母代謝速度論モデルを構築した。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-18K04851/18K04851seika.pdf
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K04851
ID情報
  • 課題番号 : 18K04851
  • 体系的課題番号 : JP18K04851