2017年6月1日
Arf6 GTPase活性化因子ARAP3によるリン脂質代謝酵素PIP5K1A活性の負の制御は浸潤仮足形成に必須である
脂質生化学研究
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- 巻
- 59
- 号
- 開始ページ
- 183‐185
- 終了ページ
- 185
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 日本脂質生化学会
癌細胞は浸潤仮足と呼ばれる細胞基質分解酵素に富む細胞膜突起を形成し、周囲の細胞外基質を分解して浸潤を駆動する。低分子量G蛋白質Arf6およびそのグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)は浸潤仮足形成を誘導することが報告されている。Arf6は定常状態で不活性型であるが、細胞が刺激を受容するとArf6 GEFによって活性化される。活性型Arf6はエフェクター分子を介して下流にシグナルを伝達したのち、Arf6 GTPase活性化因子(Arf6 GAP)によって不活性化される。近年興味深いことに、癌細胞浸潤が誘導されるには、Arf6が活性化されることに加え、不活性化される必要があることが示唆された。しかしながら癌細胞浸潤におけるArf6の不活性化機構およびその意義は未だ不明である。本研究において我々は、Arf6 GAPの一つであるARAP3が高浸潤性乳癌細胞株に高発現しており、癌細胞浸潤に必須の分子であることを明らかにした。ARAP3はArf6を不活性化することでエフェクター分子であるリン脂質代謝酵素PIP5K1Aの活性を負に制御し、PIP5K1Aの基質であるPI(4)Pの量を上昇させて上皮増殖因子受容体(EGFR)陽性エンドソームのくびりとりを誘導する。その結果、エンドソームから細胞膜へのEGFRのリサイクリングが促進され、浸潤仮足形成が誘導されることを明らかにした。(著者抄録)
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 0285-1520
- 医中誌Web ID : 2018092846
- J-Global ID : 201702240412816742