共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年2月 - 2021年3月

狭バンドギャップ半導体高分子の開発と有機薄膜デバイスへの応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))  国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))

課題番号
18KK0157
体系的課題番号
JP18KK0157
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
17,680,000円
(直接経費)
13,600,000円
(間接経費)
4,080,000円

スピンコートやブレードコート等の湿式法で大面積の均一薄膜を作製できる高分子半導体は、有機薄膜太陽電池や薄膜トランジスタ等の次世代デバイスの開発を進展させると期待されている。本研究では、申請者らが近年着目しているベンゾビスチアジアゾール(BBT)という縮鐶構造をモノマーとして選択し、Pd触媒を用いたクロスカップリング重合により高結晶性の新規半導体高分子を合成する。薄膜トランジスタの初期評価を実施した後、国際共同研究を通して太陽電池やメモリ、CMOSインバータ等の薄膜電子デバイスの高機能化に挑戦することを目的とした。
BBTは非常に強い電子アクセプター性を示すため、n型半導体の基本骨格になり得ると考え、n型特性を示すBBT高分子の開発を実施した。一連の研究の過程で、BBT単独では正孔(ホール)と電子の両方を流す両極性半導体になることが分かっていたため、正孔注入を妨げ、生成した正孔を完全に補足するユニットとしてナフタレンジイミド(NDI)と共重合した。BBTとNDIの共重合体はπスペーサーを上手に選択して平面性が高い主鎖骨格を確立すると、トランジスタにおいて高い電子移動度を示すことを見出した。ただし、太陽電池のn型半導体として用いると、p型半導体高分子のエネルギー準位と整合せず、高い光電変換効率は得られなかった。そこで、BBTの代わりにチエノピロールジオン(TPD)という骨格を用いたn型半導体高分子を合成した。TPDとNDIの共重合体は太陽電池のn型半導体として効果的に働き、光電変換効率6.6%を達成した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18KK0157
ID情報
  • 課題番号 : 18KK0157
  • 体系的課題番号 : JP18KK0157