2018年
日本における有権者の経済評価と政党支持の関係
総合政策研究
- 巻
- 56
- 号
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
本稿は、日本の有権者の意思決定時における経済評価と政党支持の影響について検証することを目的とする。経済評価と政党支持の関係をめぐっては、両者の双方向因果性を考慮した場合に、経済評価が投票選択に与えている影響は限定的であるという「経済投票修正主義 ( the revisionism of economic voting)」の知見が提示されてきた。特に欧米諸国においては、アメリカにおける政党帰属意識をはじめ、政党に対する支持が安定的であることから、政党支持が投票選択を規定している度合いが高く、その効果も含む経済評価の影響が過大に評価されていることが指摘されてきたのである。しかし日本に関する先行研究、及び本稿における分析からは、政党支持の効果を考慮した場合にも、日本の有権者の経済状況に対する評価が、有権者の意思決定に与えている影響は十分に大きいものである可能性を指摘する。よって経済投票に関する研究においては、個別の国家における政治的な文脈を考慮し、経済評価の効果は各国によって異なる可能性を念頭に置いた分析が求められることを含意として提示する。