共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

WPW症候群における副伝導路位置推定と治療戦略に関するシミュレーション研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K01366
体系的課題番号
JP17K01366
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,550,000円
(直接経費)
3,500,000円
(間接経費)
1,050,000円

平成30年度は,平成29年度に開発したシミュレーション実験システムを用いて,WPW症候群における副伝導が成立するための副伝導路の形態的・電気生理的な条件の詳細な検討を行った.
形状を単純化した心房筋領域と心室筋領域とがKent束(副伝導路)領域を介して接続している副伝導路形状モデルを構築した.Kent束は断面形状を正方形とし,断面の1辺の長さを 0.30, 0.45, 0.60, 0.75, 0.90, 1.05, 1.95 mm の7種類とした.副伝導路形状モデルに対して,心筋電気生理数理モデルとして知られる Courtemancheモデル,O'Hara-Rudy モデルを組み込んだ.導電率の範囲は,興奮伝導が成立する下限である 0.02 mS/cm から心筋線維走向に沿った方向と同等の 1.36 mS/cm までの生理的な範囲で,3つの領域それぞれで12段階で変化させることとした.心房筋領域から心室筋領域へ伝導する Anterograde conduction,心室筋領域から心房筋領域へ伝導する Retrograde conduction の双方について,Kent束断面大きさと各領域の導電率とを網羅的に変化させながら,副伝導が成立するかどうかについてのコンピュータシミュレーション実験を実行した.
実験の結果,副伝導の成立の可否がKent束の形態的な大きさに依存していること,Anterograde conduction と Retrograde conduction とで副伝導が成立するための電気生理的条件が異なることが明らかになった.また Kent束の導電率を上げると,却って副伝導路が成立しなくなる場合があるという興味深い結果が得られた.電気緊張電流 electrotonic current の影響が考えられ,今後詳細な解析を行う予定である.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K01366
ID情報
  • 課題番号 : 17K01366
  • 体系的課題番号 : JP17K01366

この研究課題の成果一覧

論文

  2

講演・口頭発表等

  7