28歳男。7年前の転落事故により左眼球突出および視力低下が残存していた。突然意識消失を来たし救急搬送され、CTで左側頭葉内出血、脳室内出血、造影剤で増強される拡張した左海綿静脈洞およびシルビウス裂の静脈を認めた。脳血管造影では左内頸動脈海綿静脈洞瘻(CCF)を認め、C3部の瘻孔から拡張した左海綿静脈洞と中大脳静脈への造影剤逆流があり、逆流により左上眼静脈が造影された。両側下錐体静脈洞への流出も認めた。Traumatic CCFに伴う脳静脈圧上昇を原因とする頭蓋内出血と診断し、血管内治療を行った。全身麻酔下に右大腿動脈経由でアプローチして左内頸動脈に9Frガイディングカテーテルを留置し、detachable balloonをマウントした2Fr/3Fr同軸カテーテルを左内頸動脈C3部の瘻孔部に進めた。造影剤を用いてballoonをinflationすると、静脈へのshuntは消失して頭蓋内内頸動脈が描出され、強い狭窄がないことを確認後に同部位でballoonをdetachした。直後の血管造影ではCCFの完全消失を確認できた。症状は徐々に改善し術後2ヵ月で消失し、左視力障害が残存したものの社会復帰した。