MISC

2014年12月

ヒト脳病理切片におけるin situ hybridization法を利用したニューロンおよびグリア細胞の同定

新潟医学会雑誌
  • 佐藤 和彦
  • ,
  • 堀江 正男
  • ,
  • 竹林 浩秀
  • ,
  • 高橋 均
  • ,
  • 柿田 明美

128
12
開始ページ
625
終了ページ
634
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
新潟医学会

in situ hybridization(ISH)法は、組織内(in situ)で標的核酸配列を、核酸プローブのハイブリダイゼーションにより検出する染色法である。ISH法は、組織内の抗原を抗体で検出する免疫染色法と比べると、標的遺伝子発現を検出するRNAプローブの作製が比較的容易である、すべてのプローブを同一の条件で使用できる、という利点がある。病理診断分野においては、ヘマトキシリン・エオジン染色など種々の染色法や免疫染色法が主に用いられている。ISH法は、ウイルス感染を調べる、遺伝子の染色体上の位置を調べることなどに利用されているが、神経病理分野での利用は限られている。本研究では、神経病理学におけるISH法の応用を目指して、脳の主要構成細胞であるニューロンとグリア細胞(アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリア)の細胞種特異的RNAプローブを作製し、ヒト脳のパラフィン切片においてこれらの遺伝子発現の検出および各々の細胞同定を試みた。ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリアの特異的遺伝子として、ニューロフィラメント(NF)、グリア細胞線維性酸性タンパク(GFAP)、ミエリン塩基性タンパク(MBP)、マクロファージコロニー刺激因子1受容体(CSF1R)を使用した。3例のヒト側頭葉病理切片を用いてISHを行った結果、全ての検体においてISHシグナルが観察された。NF陽性細胞は大脳皮質全層において検出され、錐体細胞の特徴的な形態をもつ興奮性ニューロンを含む細胞群が染まっている事が観察された。また、グリア特異的分子の陽性細胞は、灰白質そして白質に特徴的なパターンを持って検出された。退形成性血管周皮腫の周囲組織では非常に強いGFAP発現が検出され、反応性グリア細胞の存在が示唆された。以上の結果は、ヒト脳病理切片において、ISH法を用いて脳の主要な構成細胞種が同定可能であることを示している。(著者抄録)

リンク情報
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https://search.jamas.or.jp/index.php?module=Default&action=Link&pub_year=2014&ichushi_jid=J00990&link_issn=&doc_id=20150512080004&doc_link_id=120006759205&url=http%3A%2F%2Fci.nii.ac.jp%2Fnaid%2F120006759205&type=CiNii&icon=https%3A%2F%2Fjk04.jamas.or.jp%2Ficon%2F00003_3.gif
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ID情報
  • ISSN : 0029-0440
  • 医中誌Web ID : 2015282124

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