共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2024年3月

ナノ物質科学と強電場非線形光学の融合によるフォトニクスの新展開

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別推進研究  特別推進研究

課題番号
19H05465
体系的課題番号
JP19H05465
配分額
(総額)
558,090,000円
(直接経費)
429,300,000円
(間接経費)
128,790,000円

本研究では、特色ある電子状態を持つ固体結晶やユニークなナノ物質を創製できる物質科学と最先端の高強度レーザー技術を融合し、強電場光科学の深化と応用展開を図ることを目指して研究を推進している。なかでも、半導体ナノ粒子や単原子層材料に固有の電子状態に起因した高調波発生を探索するとともに、バルク結晶と比較することにより半導体からの高調波発生のメカニズムの解明を進めてきた。レーザーシステムや計測システムの構築と改良を行い、それらの安定的・効率的な運用に努めた。ナノ粒子では、バンド電子の加速運動や励起状態を制御し、高調波発生のメカニズムに新たな知見を与えることが期待される。そこで、ナノ粒子試料に対して高次高調波発生の円偏光励起による選択測を検証し、それがナノ粒子の結晶構造を調べる手法となることが分かった。また、単原子層物質における高次高調波発生の理論的考察を進め、高効率な発生効率を示す励起条件等の探索を行った。バルクの半導体試料において、励起光である2色の赤外光の照射により強電場駆動される電子の軌跡を制御し、さらに高次高調波の異なる偏光に対する結晶角度依存性とその強度依存性を系統的に測定することにより、高次高調波の発生効率や発生機構に関する重要な知見を得た。位相ロック分光によって半導体のスピン軌道相互作用にもとづく量子状態の直接的な計測にも成功した。独自に開発した高強度THzパルスによりフォノンを励起した直後の半導体の発光ダイナミクスの観測から、高エネルギーのキャリア分布(ホットキャリア)が増大し、そのエネルギー損失が非常に遅くなることを発見した。これら新しい非線形光学現象の発見を行い、得られた成果をとりまとめ学会発表や論文公表を行った。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-19H05465/19H05465_saitaku_shoken_ja.pdf
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19H05465
ID情報
  • 課題番号 : 19H05465
  • 体系的課題番号 : JP19H05465