共同研究・競争的資金等の研究課題

2014年 - 2015年

脳内環境破綻時のNaxチャンネルの生理機能の解明

文部科学省  科学研究費補助金(新学術領域研究(研究領域提案型))  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
26111726
体系的課題番号
JP26111726
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,810,000円
(直接経費)
3,700,000円
(間接経費)
1,110,000円
資金種別
競争的資金

研究代表者は、これまでナトリウムチャネル分子Naxの研究を進め、脳室周囲器官において体液Naレベルセンサーとしての生理機能を有することを見出した。その過程で、脳傷害部位においてNaxの発現が高まることを見出した。しかし、Naxが脳傷害部位においてNaレベルセンサーとして機能するとは考えにくく、生理機能は不明なままであった。本研究では、脳傷害部位におけるNaxの生理的意義について解明を進めた。
これまでの研究で、以下のことが明らかになった。(1)神経傷害部位においてエンドセリン濃度が上昇する。(2)神経傷害部位においてNaxの発現が誘導される。(3)NaxはエンドセリンB型受容体を介したシグナルによって開口する。(4)Naxが活性化されると細胞内の嫌気的糖代謝が活性化し、アストロサイトからの乳酸放出が起きる。(5)乳酸は神経細胞の生存に寄与し、神経傷害部位での細胞死が減少する。(6)末梢では、神経切断部位における軸索再伸長がNax依存的に増強される。(6)アストロサイトでは、足場タンパク質SAP97とPDZ配列を介して結合することにより、細胞膜上で安定化している。(7)大脳皮質及び扁桃体基底外側部においてNaxはニューロンに発現しており、足場タンパク質PSD95とPDZ配列を介して結合し、シナプス後部に存在している。(8)ニューロンに発現しているNaxも、グリア細胞に発現しているNaxと同様のNa感受性を示す。(9)Naxのイオン選択性はNa+ ≈ Li+ > Rb+ > Cs+である。以上の成果をCell Metab誌、Eur J Neurosci誌、PLoS One誌等に発表した。また、Naxの発現調節機構、乳酸による神経保護機構、NaxとTRPV4の機能的連関、本体性高Na血症の発症機序に関する新たな知見について、成果をまとめ、それぞれ投稿または投稿準備中である。

リンク情報
URL
http://kaken.nii.ac.jp/d/p/26111726.ja.html
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-26111726
ID情報
  • 課題番号 : 26111726
  • 体系的課題番号 : JP26111726