2018年4月 - 2020年3月
メタゲノム解析による海産栽培魚種の腸内細菌が初期放流減耗に与える影響評価
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
水産資源の持続的な利用を目的として、配合餌料を用いて人工種苗を生産し、天然海域に放流するが、その効果は限定的である。放流された種苗は、これまで与えられてきた配合餌料とは異なる天然餌料を摂食し、成長していく必要があるが、天然餌料を摂食しても痩せてしまうものも存在する。これまで、マサバ種苗と天然魚を用いて、腸内細菌のメタゲノム解析を行ったところ、属レベルで多様性に違いが認められた。種苗には天然餌料の消化・吸収を助ける腸内細菌がほとんどいないことを起因とする減耗の可能性が考えられた 。本研究では、消化・吸収に重要な役割を果たす腸内細菌に注目し、複数の栽培重要魚種について、メタゲノム解析により種苗と天然魚における腸内細菌の「多様性」と「遺伝子構成」を比較し、放流初期の減耗に至る原因の一端を考察する。
平成30年度は、(1)餌の質的な違いを考慮したマダイ人工種苗の飼育実験と、(2)トラフグ人工種苗の放流1ヶ月後に天然海域から再採捕された個体と放流せずに1ヶ月配合餌料で飼育した個体を取得できた。これらの個体を用いて、当初メタゲノム解析を行う計画であったが、腸内細菌の「多様性」を比較・検討するべく、まず16SrRNA遺伝子を指標としたアンプリコンシーケンスを実施し、確認した。(1)のマダイ人工種苗の飼育実験について、1ヶ月間、生餌給餌群としてアミ類やイソメを与え、対象区である配合餌料給餌群との腸内細菌叢の比較を行った。結果、分類体系の綱(class)レベルでその存在比に違いが見られた。(2)のトラフグについては、綱の一つ上の分類である門(phylum)レベルでその存在比に違いが見られた。これらの結果は、魚種によっても餌の違いで腸内細菌の多様性が異なること、飼育環境下よりも天然海域で育つ個体の方が、腸内細菌が多様であることを明らかにした。
平成30年度は、(1)餌の質的な違いを考慮したマダイ人工種苗の飼育実験と、(2)トラフグ人工種苗の放流1ヶ月後に天然海域から再採捕された個体と放流せずに1ヶ月配合餌料で飼育した個体を取得できた。これらの個体を用いて、当初メタゲノム解析を行う計画であったが、腸内細菌の「多様性」を比較・検討するべく、まず16SrRNA遺伝子を指標としたアンプリコンシーケンスを実施し、確認した。(1)のマダイ人工種苗の飼育実験について、1ヶ月間、生餌給餌群としてアミ類やイソメを与え、対象区である配合餌料給餌群との腸内細菌叢の比較を行った。結果、分類体系の綱(class)レベルでその存在比に違いが見られた。(2)のトラフグについては、綱の一つ上の分類である門(phylum)レベルでその存在比に違いが見られた。これらの結果は、魚種によっても餌の違いで腸内細菌の多様性が異なること、飼育環境下よりも天然海域で育つ個体の方が、腸内細菌が多様であることを明らかにした。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K14517
- 体系的課題番号 : JP18K14517