MISC

2009年8月

生体腎移植後、妊娠・出産した1型糖尿病の1例

糖尿病と妊娠
  • 竹田 徹朗
  • ,
  • 細島 康宏
  • ,
  • 菊池 朗
  • ,
  • 斎藤 和英
  • ,
  • 西 慎一
  • ,
  • 忰田 亮平
  • ,
  • 飯野 則昭
  • ,
  • 斎藤 亮彦
  • ,
  • 鈴木 芳樹
  • ,
  • 成田 一衛

9
1
開始ページ
84
終了ページ
90
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(一社)日本糖尿病・妊娠学会

1型糖尿病による慢性腎不全に対する腎移植後に、結婚・妊娠・出産した症例を経験した。腎移植後の本邦出産例はこれまでいくつか報告されているが、原疾患が糖尿病腎症の例は本邦2例目である。[症例]37歳、初産婦。[既往歴]糖尿病性網膜症のため右眼は失明。[現病歴]8歳時に1型糖尿病を発症し、インスリン療法を開始した。20歳時に蛋白尿が出現し、腎生検にて糖尿病腎症と診断された。28歳頃より腎機能が低下し、29歳時、腎不全に伴う溢水のために血液透析が開始された。31歳時、父をドナーとして血液型一致の生体腎移植術を受けた。拒絶反応はなく、移植腎機能はCr 1.0-1.1mg/dl、尿蛋白陰性と安定しており、高血圧も認めなかった。36歳時に結婚し、2007年1月、妊娠6週であることが判明したが計画妊娠ではなかった。妊娠判明後は、妊娠前と同様インスリンリスプロおよびインスリングラルギンの強化インスリン療法にて、HbA1c7%以下にコントロールされた。妊娠30週頃から尿蛋白が出現した。妊娠36週に血圧上昇および尿蛋白の増加を認め、妊娠高血圧腎症を合併した。左眼の硝子体出血を考慮し、37週1日にて帝王切開を施行された。3168gの男児をApgar score 8/9点で分娩した。児に無呼吸発作、低血糖、高ビリルビン血症を認めたが、後遺症なく退院した。出産半年後の腎機能および蛋白尿は妊娠前に回復した。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1347-9172
  • 医中誌Web ID : 2010097248

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