共同研究・競争的資金等の研究課題

2006年 - 2007年

COPDに対するintrathoracic balloon pumpingの開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 萌芽研究  萌芽研究

課題番号
18659402
体系的課題番号
JP18659402
配分額
(総額)
3,300,000円
(直接経費)
3,300,000円

本研究は,末期の肺気腫症例において,胸腔内にバルーンを留置,pumpingさせる体内式呼吸補助装置の作成を目的としている.一方,肺気腫は肺胞構造の破壊に伴い,肺血管床が減少し肺高血圧から右心不全となる.この状況下でのバルーン留置は,肺高血圧を増悪させる可能性がある.前回,ラットの右肺の三葉を切除することにより,人工的な肺高血圧の状態を作成し,右心室などの循環系への影響と対側肺に生じる肺の過膨張の実験を行った.ラットを人工呼吸器下に右上,中,下葉を切除した群(RPN群)と開胸のみの群(C群)における3週間後の対側肺の容積(V),肺動脈圧(PA),体重に対する右心室の重量の比(RV/BW)を評価した.PA, RV/BWはRPN群において有意差をもって高値を示し,さらにRNP群においてVが有意に増大し,病理学的にも対側肺の肺胞間距離が増大している所見を認めた.以上より3肺葉切除レベルにおいては残存肺の気腫性変化を生じるのみならず,右心系への負荷が増加する可能性が示唆された.しかしながらバルーンの効果を最大限に発揮するためには,ある程度のサイズは必要であると考えられ,事前に右心不全を抑制する手段が必要と判断した.G-CFSが肺高血圧症を改善させるという報告があり,事前投与によって右心不全の抑制可能かどうかを今回は検討した.G-CSFを肺葉切除後に19日間10μg/kg/day投与した群(LG10)と100μg/kg/day投与した群(LG100)とRPN群(control)で右心負荷の抑制の程度を評価した.G-CFS投与によってPAは変化がなかったが,RV/LV+S(LV+S:左室壁,中隔の重量)と病理学的な肺内肺動脈中膜肥厚はRPN群に比較し有意に抑制できていた.よって少量のG-CSFを投与することによって比較的大きめのバルーンの使用も可能となると判断された.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18659402
ID情報
  • 課題番号 : 18659402
  • 体系的課題番号 : JP18659402