2018年2月
Ball valve syndromeにより急性膵炎を発症した胃癌の1例
臨床放射線
- ,
- ,
- ,
- ,
- ,
- ,
- ,
- 巻
- 63
- 号
- 2
- 開始ページ
- 205
- 終了ページ
- 208
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 金原出版(株)
症例は80歳代女性で、胃癌を指摘されたが無治療経過観察していた。嘔吐がみられ、腹部全体の痛みが増強した。腹部単純CTでは胃前庭部から幽門部は十二指腸に向けて嵌入し、胃重積をきたしていた。先進部には50×28mmの辺縁平滑で軽度高吸収を呈する腫瘤を認めた。十二指腸下行脚、Vater乳頭近傍には憩室を認め、腫瘤の一部に憩室への嵌入を疑った。主膵管、総胆管は拡張し、膵周辺脂肪織は混濁し、急性膵炎が示唆された。上部消化管造影では十二指腸下行脚に腫瘤が陰影欠損像として観察した。十二指腸下行脚のVater乳頭近傍にはCTと同様、憩室を認めた。上部消化管内視鏡を施行し、腫瘤が十二指腸下行脚の憩室に嵌入しているのを確認した。上部消化管内視鏡で重積が解除されたが、入院6日目に再度重積を生じた。肝胆道系酵素および膵酵素のさらなる上昇を認め、幽門側胃切除術を施行した。術後、肝胆道系酵素および膵酵素は速やかに低下した。病理組織学的所見では、組織型は中分化型管状腺癌で、直接浸潤は粘膜下層に留まっていた。
- ID情報
-
- ISSN : 0009-9252
- 医中誌Web ID : 2018170182