共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年7月 - 2024年3月

古墳出現前後における刀剣生産開始年代検証のための大型砥石の研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
21K18388
体系的課題番号
JP21K18388
配分額
(総額)
6,110,000円
(直接経費)
4,700,000円
(間接経費)
1,410,000円

研究目的は、日本における刀剣類の製作開始年代を、古墳時代前期後半以降から中期とする解釈が主流であったが、福岡県博多遺跡群の鍛冶関連遺物の出土を受けて、より年代が遡る可能性がないかを、新視点として大型砥石に注目することで検討を行うことにある。
今年度の資料調査は、新型コロナ感染症対策から計画通りに実施できなかったが、2件の外部機関の調査が実施できた。桜井市埋蔵文化財センターでは、纒向遺跡メクリ地区の大型砥石と鉄ヤリの調査を行い、あわせて近年の纒向遺跡調査での鍛冶関連遺物出土について、桜井市担当者と情報交換を行った。纒向遺跡については、橿原考古学研究所調査資料を並行して検討し、学会等での発表準備を進めた。また、兵庫県芦屋市教育委員会では、会下山遺跡出土鉄器と砥石の調査を行った。弥生時代集落として多数の鉄器が出土しており、鍛冶の実態について理解を深めた。
研究発表として、資料整理を受けて「宇陀の古墳時代前期鉄製武器の一様相」『青陵』165号で、奈良県宇陀地域における折り曲げ鉄剣や有稜系鉄鏃の出土、同型同大と呼ばれる短剣の分布などの重層的な鉄器の広がりが古墳時代前期にあったことを確認した。また、「博多遺跡群にみる古墳時代前期の鉄器生産の一様相」『古墳文化基礎論集』において本研究の契機となった大型砥石の実測図公表と福岡県博多遺跡群の鍛冶技術の評価を行った。研究発表には、第17回古代武器研究会で「黒塚古墳にみる副葬祭祀と鉄製武器」と題して口頭発表を行い、黒塚古墳出土品を中心に、刀剣類生産研究の現状と生産開始年代の問題点を整理し、年代の遡る可能性について検討を行った。
なお、大型砥石についてはメタシェープによる3Dモデル化をすすめ、陰影図を作成することで線画でとらえにくい曲面などの表現が可能か、検討を加えた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K18388
ID情報
  • 課題番号 : 21K18388
  • 体系的課題番号 : JP21K18388

この研究課題の成果一覧

論文

  6

MISC

  4

書籍等出版物

  1
  • (担当:編者(編著者), 範囲:「第1章2本書で扱う刀剣類とその概要」「第2章4ヤリ」「第4章1(3)大和における前方後円墳の出現と刀剣類」「第5章2刀剣類の生産」「おわりに 刀剣類研究のゆくえ」)
    ハーベスト出版 2022年10月11日

講演・口頭発表等

  8