2008年12月
信仰の土着化とナショナリズムの相関関係──「宗教の神学」の課題として
基督教研究
- 巻
- 70
- 号
- 2
- 開始ページ
- 55
- 終了ページ
- 71
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(大学,研究機関等紀要)
- DOI
- 10.14988/pa.2017.0000012159
- 出版者・発行元
- 同志社大学
信仰の土着化をめぐる議論は、キリスト教史全体に見られるが、本稿では、近代国民国家の形成期以降に焦点を当て、信仰の土着化が「ナショナルなもの」と不可分の関係にあったことを考察する。同時に、ナショナリズムを考察するための神学的枠組みを検証し、その有効性を、世俗的ナショナリズムと宗教的ナショナリズムの緊張関係の中で問うていく。また、土着化・文脈化の議論の中で繰り返し現れてくる近代主義的なディスコースの問題点を指摘する。そして、その作業を通じて、従来の「宗教の神学」が、多様な宗教との対話可能性を模索しながらも、その宗教理解から排除していたものが何であったのかを明らかにし、宗教概念の周縁に位置づけられてきたものの中にこそ、考慮すべき対象があることを示唆する。最後に、「宗教の神学」が「一神教の神学」および「文脈化の神学」と批判的・一体的な地平で取り扱われるべき必要性があることを示す。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.14988/pa.2017.0000012159
- ISSN : 0387-3080
- CiNii Articles ID : 110007602949
- CiNii Books ID : AN00063325