2019年
「スケールのパフォーマティヴィティ」とストラスブールの大モスク建設―アクターの言説実践に着目して―
人文地理
- 巻
- 71
- 号
- 4
- 開始ページ
- 393
- 終了ページ
- 416
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.4200/jjhg.71.04_393
- 出版者・発行元
- 一般社団法人 人文地理学会
本稿の目的は,フランス,ストラスブールの大モスクの建設過程およびその利用を通じて,言説実践としてのスケールがいかに実質的な効果を生み出したのかについて,「スケールのパフォーマティヴィティ」の観点から論じることである。同モスクは,ライシテ(非宗教性の原則)が重要視されるフランスにありながら,異なる制度を持つアルザス・モーゼル地方法を活用し,地方公共団体からの資金援助を受けて2012年に建てられた。本稿では,人文地理学で発展してきた社会構築主義的な「スケール」視角に依拠し,スケール言説がモスクの建設過程および物質性にいかに作用したか,またモスクの利用を通じて新たなスケール言説がいかに再構築されているか,インタビューで得た語りを引用しながら分析を試みた。分析において,アクターや状況に応じて登場する複数のスケールが,「ここ/よそ」の区別に結び付けられていること,さらにスケールの言説実践を通じて,「ここ/よそ」の境界は絶えず問い直されていることが示された。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.4200/jjhg.71.04_393
- ISSN : 0018-7216
- eISSN : 1883-4086
- CiNii Articles ID : 130007798508
- CiNii Books ID : AN00123110
- CiNii Research ID : 1390565134829034368