2019年4月 - 2023年3月
最終氷期における中部高地の景観変遷と黒曜石資源開発をめぐる人間-環境相互作用
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
- 課題番号
- 19H01345
- 体系的課題番号
- JP19H01345
- 担当区分
- 研究代表者
- 配分額
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- (総額)
- 17,940,000円
- (直接経費)
- 13,800,000円
- (間接経費)
- 4,140,000円
本課題は、長野県中部高地黒曜石原産地の標高1000-2000m付近における最終氷期の森林限界の推移を中心とした古環境の復元と人類遺跡における黒曜石利用の解明をとおして先史時代の黒曜石資源開発におけるヒト-環境相互作用を究明することを主要な目的としている。2020-2021年度は新型コロナ感染症の拡大状況により研究計画の一部を2022年度まで繰り越している。研究期間の最終年度にあたる2022年度は、6月に上記した2020年度からの繰り越しにあたる長野県入笠山大阿原湿原及び同南牧村矢出川湿原を対象としたボーリング調査を実施することができた。調査で得られたコアの下底部からは14C年代測定により最終氷期MIS2初頭にまで遡るca. 30 kaの年代が得られ、残りの限られた研究期間および期間終了後にわたって花粉分析や大形植物遺体の分析を進めている。先史黒曜石利用の調査については、まず、本科研費で導入した携帯型蛍光X線分析装置(p-XRF)を用いて基準原石試料の化学組成の濃度測定を複数回行い、公表値と測定値の相関から新たに回帰直線を求め、p-XRFによる測定値の補正を行なった。この作業により、p-XRF原産地分析システムが依拠している原産地判別ダイアグラムの正確度を向上することができた。加えて、すでに他のラボによって原産地判別が行われている原産地既知の遺物を用いて、中部高地黒曜石原産地以外の高原山、箱根、天城、神津島の各原産地に由来する黒曜石製石器を当該分析システムが正しく判別できるかどうかテストを行い、良好な結果を得た。こうしたシステムの改善を受け、11月及び2023年3月に霧ヶ峰周辺の諏訪市と茅野市に所在する北踊場と御小屋之久保の両石器群558点を対象としたp-XRFによる化学組成分析および原産地判別を行ない、最終氷期における黒曜石原石獲得領域の復元に関する成果を公開した。
- ID情報
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- 課題番号 : 19H01345
- 体系的課題番号 : JP19H01345
この研究課題の成果一覧
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論文
4-
資源環境と人類 13 1-15 2023年3月 査読有り筆頭著者
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資源環境と人類 12 121-131 2022年3月 査読有り責任著者
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資源環境と人類 12 37-79 2022年3月 査読有り筆頭著者
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Journal of Archaeological Science 129 2021年4月 査読有り