共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2019年3月

植物の配偶体形成で機能する膜融合装置の解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
17H05850
体系的課題番号
JP17H05850
配分額
(総額)
9,360,000円
(直接経費)
7,200,000円
(間接経費)
2,160,000円

膜交通はオルガネラ間の物質輸送を担う真核生物に普遍的な細胞機能である.膜交通の分子機構はその主なメカニズムが真核生物において高度に保存される一方で,種や組織特異的な多様化があることがわかってきており,この分子機構の多様化はそれぞれの生物に特有の生命現象に深く関わっている.植物の生殖過程においても特異的に発現する膜交通制御の鍵因子が多く存在することから,膜交通が重要な役割を担っていることが知られている.本研究では,古くから「鍵と鍵穴」に例えられ膜融合の特異性を決定するSNAREに着目した研究から,コケ植物と被子植物における配偶子形成の際の細胞質分裂の仕組みの解明と,両者の比較による配偶子形成の進化と膜交通の多様化の関連の解明を目指している.これまでに,シロイヌナズナの花粉第一有糸分裂の分裂面にSYP11が局在すること,syp11変異が雌雄の配偶子からの遺伝に異常があること,およびsyp3変異体でSYP11を含むSNAREの局在が異常となることを見いだし,花粉第一有糸分裂にはSYP11が関わること,SYP3がこれらの輸送を制御することを示した.また,ゼニゴケの精子変態期にMpSYP3が発達した液胞の近傍に局在することも見いだした.さらに,膜交通のもう一つの「鍵と鍵穴」である積み荷とその輸送小胞への取り込みの制御因子PICALMの関係に注目し,PICALM5が花粉管伸長時に機能する受容体様キナーゼの一つであるANXの局在制御に関わることを明らかにした.この他,シロイヌナズナにおいて雄原細胞から精細胞にかけて強く発現する膜交通制御因子を複数同定する,ゼニゴケの精子形成過程で強く発現するプロモーターを単離するなど,両モデル植物の精細胞/精子形成における膜交通の解析を進める上で基盤となる知見を得た.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PUBLICLY-17H05850
ID情報
  • 課題番号 : 17H05850
  • 体系的課題番号 : JP17H05850