共同研究・競争的資金等の研究課題

2002年 - 2005年

骨の再生医学的治療戦略の分子生物学的基盤の研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
14207056
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
43,160,000円
(直接経費)
33,200,000円
(間接経費)
9,960,000円

本申請研究は重度の骨粗鬆症や広範骨欠損に対する骨の再生医学的治療戦略の確立に向けた基盤研究を行うことにある。すなわち骨組織の再生に向けて3つの目標をもって研究を行った。第1の目標は骨芽細胞の多段階的な制御のメカニズムの検討であり、第2は破骨細胞の分化と制御のメカニズムの解明、そして第3に骨ならびに軟骨の機能分子の解析に基づく骨あるいは軟骨の破壊の防止や骨組織の維持のメカニズム上の研究である。
この目的に従って、第1項目の骨の形成のメカニズムについては2005年にBMPのアンタゴニストとしてのCIZの機能を解明した。さらにこの骨芽細胞の機能が破骨細胞に対する交感神経系の抑制とともに抑止されることを明らかにし、骨芽細胞の分化の下流においてはRUNX2の関与がメカニカルストレスのシグナルの下流にあることを明らかにした。これに加えて骨芽細胞の分化に関わるBMPのメカニズムとしてSostの役割や、HLHタンパクの機能、さらにPTHの下流におけるオステオポンチンの機能とともにBMPの抑止分子としてのCIZの役割を明らかにした。
第2項目の破骨細胞の解析の検討として、破骨細胞の分化におけるオステオポンチンの悪性黒色腫に対する役割を解明し、またクロトタンパクがその制御の過程においてオステオプロテグリンとの相互作用を持つことを明らかにした。さらにTobが卵巣摘除における骨吸収に伴う骨量低下に対しその骨量低下の一助を担っていることを発見した。また、破骨細胞の転写因子であるMitf-Dの役割を見出した。
第3の再生の項目について軟骨の観点からはOPNが関節量の軟骨の異化に直接かかわることを見出し、軟骨細胞における転写因子Sox9の役割を解明し、また腱におけるステムセルの細胞の存在を見出した。これに加えて間葉系のステムセルの細胞株であるC1におけるBMPの機能を解明した。
以上のごとく3つの観点の研究の申請により骨・軟骨の再生研究の基盤として有意義な知見が確立された。(839文字)

ID情報
  • 課題番号 : 14207056