2020年4月 - 2023年3月
野鳥と吸血昆虫から探る新興アルボウイルスの生態解析
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
日本各地のツバメ類を中心とした野鳥巣材を収集し、それらの巣材中に棲息している吸血性節足動物の採集を行った。関東圏内の複数地点において収集したイワツバメの巣材から、多数のスズメサシダニが採集され、それらの保有するウイルスを調査するため、次世代シークエンサーを用いたRNAウイルス叢解析を実施した。その結果、マダニやヒメダニ媒介性のウイルスと相同性を示すものも含め、様々なウイルス分類群に属する多様なウイルス様配列が検出された。
また、東京都内において収集されたツバメの巣材からスズメトリノミが採集され、それらの保有するウイルスを調査するため、上記の方法と同様に次世代シークエンサーを用いた網羅的なウイルス解析を実施した。その結果、近年新たに創設されたウイルス分類群であるJingchuviralesに属すると思われる新規性の高いウイルス様配列が検出された。Jingchuviralesに分類されるウイルスの多くは節足動物から見出されており、そのなかには、ヒトへ感染性・病原性を示すことが示唆されているウイルスの存在も知られている。今回検出された新規ウイルスのヒトを含めた脊椎動物への感染性等は未だ不明であるが、本ウイルス様配列は、スズメトリノミの成虫と幼虫のいずれのサンプルからも検出されたことから、宿主ノミにおいて垂直伝播していることが示唆された。
今回ウイルス解析を実施した野鳥の巣材に棲息するサシダニ類やノミ類においては、それらが媒介するウイルスの存在はこれまで知られていなかったが、本研究の結果から、これらの吸血性節足動物がヒトや脊椎動物に感染するウイルスと近縁なウイルスや、その他の多様なウイルスを保有している実態が初めて明らかになった。
また、東京都内において収集されたツバメの巣材からスズメトリノミが採集され、それらの保有するウイルスを調査するため、上記の方法と同様に次世代シークエンサーを用いた網羅的なウイルス解析を実施した。その結果、近年新たに創設されたウイルス分類群であるJingchuviralesに属すると思われる新規性の高いウイルス様配列が検出された。Jingchuviralesに分類されるウイルスの多くは節足動物から見出されており、そのなかには、ヒトへ感染性・病原性を示すことが示唆されているウイルスの存在も知られている。今回検出された新規ウイルスのヒトを含めた脊椎動物への感染性等は未だ不明であるが、本ウイルス様配列は、スズメトリノミの成虫と幼虫のいずれのサンプルからも検出されたことから、宿主ノミにおいて垂直伝播していることが示唆された。
今回ウイルス解析を実施した野鳥の巣材に棲息するサシダニ類やノミ類においては、それらが媒介するウイルスの存在はこれまで知られていなかったが、本研究の結果から、これらの吸血性節足動物がヒトや脊椎動物に感染するウイルスと近縁なウイルスや、その他の多様なウイルスを保有している実態が初めて明らかになった。
- ID情報
-
- 課題番号 : 20K15671
- 体系的課題番号 : JP20K15671