講演・口頭発表等

2021年3月

未破裂椎骨動脈解離性動脈瘤における、造影cone-beam CTを用いた解離所見の描出とその所見に基づく治療戦略

第46回日本脳卒中学会学術集会:STROKE 2021(現地・Web併催)
  • 平松匡文
  • ,
  • 杉生憲志
  • ,
  • 菱川朋人
  • ,
  • 春間純
  • ,
  • 高橋悠
  • ,
  • 村井智
  • ,
  • 西和彦
  • ,
  • 山岡陽子
  • ,
  • 佐藤悠
  • ,
  • 胡谷侑貴
  • ,
  • 伊達勲

開催年月日
2021年3月11日 - 2021年3月13日
記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(一般)
主催者
九州大学大学院医学研究院病態機能内科学
開催地
福岡
国・地域
日本

【背景】頭蓋内動脈解離の画像所見として、血管の形態的変化の他に、壁在血栓、intimal flap、double lumen等の血管内腔の評価も重要だが、これらの所見は主にMRIを用いて評価されてきた。造影cone-beam CT (CBCT)は空間・濃度分解能が高く、血管内腔をより詳細に評価できる。未破裂椎骨動脈解離性動脈瘤(VADA)におけるCBCTによる解離所見の描出能を検討した。
【方法】当科で2016年1月から2020年10月に、術前に造影CBCTを撮影した未破裂VADA15例を対象として、CBCTによる瘤内血栓と解離所見の描出能を検討した。また、治療法と治療結果を検討した。
【結果】平均年齢56歳、男性12例であり、症候は疼痛7例、脳梗塞1例、脳幹圧迫症状2例、無症候5例であった。瘤の平均最大径は13mm、部分血栓化を9例で伴っていた。9例全例で瘤内血栓はCBCTで指摘でき、CTやMRIより詳細に描出できた。CBCTにより親動脈壁在血栓等の解離所見を12例で描出できた。1例で親動脈閉塞(PAO)、8例でステント併用コイル塞栓術(SAC)、4例でステント単独治療(sole stenting)、2例でflow diverter stent留置(FD)を行った。PAOとSACの9例全例でDSAでの経過観察で完全閉塞が得られ、再発を認めていない。Sole stentingとFDを行い経過観察できた5例では、全例で血流腔は縮小し、3例で血栓部分を含んだ瘤の縮小が得られた。CBCTで親動脈の解離所見を認めた症例中4例で、CBCTで判明した解離範囲がステント留置位置に影響し、経過観察できた3例で閉塞もしくは瘤の縮小が得られた。
【結語】未破裂VADAにおいて、造影CBCTにより瘤内血栓や解離所見を詳細に描出できた。解離所見が描出できた場合は、その所見に基づいて頭蓋内ステント留置範囲を検討可能である。