2021年4月 - 2024年3月
てんかん診療における心理社会評価の信頼性・妥当性検証による標準化の取組み
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
本研究の目的は、てんかん患者に特化した心理社会評価尺度の信頼性・妥当性検証により、包括的てんかん診療評価方法の標準化を目指すことである。さらに、臨床ニーズに対応した簡易版評価尺度の作成も行う。その背景には、てんかん診療において、医学的(客観的)評価による診断や治療パターンの標準化は確立されてきつつも、患者の心理社会(主観的)評価による患者の心理社会的パターンは標準化されておらず、標準的で系統的な介入支援が未確立であることが挙げられる。結果、患者の医学的治療が奏功しても心理社会的問題が残存し、治療効果が最大化されない現状がある。
2021年度の本研究機関での実施症例数(同意取得件数)は52例(成人38名・小児14名)であった。新型コロナ感染症の拡大の影響を受け,当該てんかんモニタリングユニット入院患者数が大幅に減少したため,予定していた実施症例数も減少した。しかし,てんかん患者の臨床情報、画像データ、認知機能、精神症状、QOLを含む心理社会的データ自体の内容の精密度は維持している。また、心理社会的評価尺度の中で妥当性が未検証なてんかんセルフスティグマと障害受容の尺度の日本語版についてはその解析も行ない、論文化した。また,障害受容については,抑うつやソーシャルサポートなどの心理社会的因子とともに,QOLの重要な促進因子であることを明らかにし,論文化した。興味深いことに,てんかんセルフスティグマは従来の先行研究ではQOLの有意な阻害因子であった。しかし,当研究の結果,障害受容の獲得によりセルフスティグマのQOLへの影響が非有意になることも解明され,さらなる障害受容の獲得のための心理的介入プログラムの開発が期待される裏付けとなった。さらに,てんかん患者のソーシャルサポートとQOLについても,従来の統計学的課題を解決すべくネットワーク解析という手法を用いて解析し、現在論文作成中である。
2021年度の本研究機関での実施症例数(同意取得件数)は52例(成人38名・小児14名)であった。新型コロナ感染症の拡大の影響を受け,当該てんかんモニタリングユニット入院患者数が大幅に減少したため,予定していた実施症例数も減少した。しかし,てんかん患者の臨床情報、画像データ、認知機能、精神症状、QOLを含む心理社会的データ自体の内容の精密度は維持している。また、心理社会的評価尺度の中で妥当性が未検証なてんかんセルフスティグマと障害受容の尺度の日本語版についてはその解析も行ない、論文化した。また,障害受容については,抑うつやソーシャルサポートなどの心理社会的因子とともに,QOLの重要な促進因子であることを明らかにし,論文化した。興味深いことに,てんかんセルフスティグマは従来の先行研究ではQOLの有意な阻害因子であった。しかし,当研究の結果,障害受容の獲得によりセルフスティグマのQOLへの影響が非有意になることも解明され,さらなる障害受容の獲得のための心理的介入プログラムの開発が期待される裏付けとなった。さらに,てんかん患者のソーシャルサポートとQOLについても,従来の統計学的課題を解決すべくネットワーク解析という手法を用いて解析し、現在論文作成中である。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K16616
- 体系的課題番号 : JP21K16616