共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

放射線脳壊死関連マクロファージに発現する免疫制御分子B7ファミリーの意義の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K09012
体系的課題番号
JP18K09012
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

グリオーマに対する治療成績は高線量放射線治療の進歩により向上し、長期生存例が増加している。一方で遅発性脳放射線壊死を生じる症例も増加傾向にある。本病態は進行性の組織壊死と病変周囲に広範な脳浮腫を来たし、患者は種々の神経脱落症状を呈して QOL が低下し、ひいては患者生命をも脅かす。現在は抗VEGF 抗体ベバシズマブによる治療が薬事承認されつつあるが、本治療終了後に壊死再発をきたす症例も多く、本病態のすべてが解明され制御されているとは言い切れない。近年の研究で我々は脳放射線壊死組織内では慢性炎症状態が生じていることが示されている。そこで本研究課題では、脳放射線壊死組織内における免疫応答の解析を試みた。その結果、平成 30 年度においてはヒト脳放射線壊死組織内で集積亢進している M2 マクロファージでは B7-H3 および B7-H5 といった免疫抑制性分子の発現が亢進していることが判明した。同様にグリオーマ放射線脳壊死マウスモデルにおいても同分子の発現亢進がみられ、これらの分子が放射線脳壊死の周囲浮腫に関与していることが明らかとなった。また次世代シークエンサーを用いたマウス腸内細菌叢の予備解析により、クロストリジア目が脳放射線壊死に関連する免疫応答の強度と相関することが明らかとなった。以上の結果より、脳放射線壊死の悪化には組織中に浸潤する M2 マクロファージの一部が関与しており、また腸内細菌が産生する代謝産物も関与しうることが示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18K09012
ID情報
  • 課題番号 : 18K09012
  • 体系的課題番号 : JP18K09012