共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2023年3月

新規lncRNAに着目した心不全の分子機構解明および新規治療法の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
21K16061
体系的課題番号
JP21K16061
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

近年、多くのlong non-coding RNA(lncRNA)が心肥大・心不全に関与することが報告され、注目されている。また多くのlncRNAは核内に局在し近傍に存在する単一の標的に対して作用を及ぼすものが大多数である。申請者は網羅的なGene Trap法を用いて、心筋細胞に特異的に高発現し、細胞質に局在する新規lncRNA Caren (cardiomyocyte-enriched noncoding transcript)を同定した。Carenは加齢や心負荷により減少し、その欠失は心不全増悪を招き、補充により心保護作用を示すことを見出した。Carenの心臓保護作用のメカニズムとして、Carenが①Hint1の翻訳抑制を介して、ATMの活性化を抑制し、DNA損傷応答を軽減すること、②Tfamの増加を介してミトコンドリア生合成を亢進し、心臓におけるエネルギー代謝・供給を改善させることを明らかにした。また、ヒト、マウスのゲノム染色体の対応する部位から6種のヒトCAREN候補転写物を同定し、候補転写物1と3がヒト心臓組織において発現し、候補転写物1の発現量がBNP発現量と逆相関することを見出し、候補転写物1がヒトCARENオルソログであることが示唆された。申請者は、以上の結果を論文発表した(Sato, et al. Nat commun 12(1):2529, 2021)。さらに、ヒトCARENオルソログを過剰発現させたマウスを作製し、圧負荷誘導心不全モデルにより、心保護作用を検証した。その結果、ヒトCARENオルソログTgマウスは圧負荷誘導性心不全に抵抗することが明らかとなった。24ヶ月齢の高齢マウスを用いた加齢による心機能変化を検証した。その結果、高齢マウスでは心臓収縮能の低下に加えて拡張能が有意に低下していることを確認した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K16061
ID情報
  • 課題番号 : 21K16061
  • 体系的課題番号 : JP21K16061