共同研究・競争的資金等の研究課題

2010年 - 2011年

土器製作技術からみた文化変化メカニズムの研究―弥生時代開始前後の朝鮮半島・日本―

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
10J02869
体系的課題番号
JP10J02869
配分額
(総額)
1,400,000円
(直接経費)
1,400,000円

考古学と形質人類学の研究成果によって、韓半島南部から北部九州への移民が契機となり、縄文時代から弥生時代の文化変化が生じたことが明らかになっている。しかし、どのような過程で文化変化が生じたのかは不明瞭である。そこで、本研究では、土器とその製作技術の詳細な変化に注目し、在来要素と外来要素の在り方を検討した。製作技術の観察項目は粘土積上方法、器面調整方法、焼成方法であり、これらを、時期・地域・器種ごとに分析した。研究目的を達成するためには、両地域の土器とその製作技術に関する分析を行う必要がある。北部九州の資料の調査は終えているため、本年度は韓半島南部での資料調査を実施した。調査期間と機関は、4月から8月までで、釜山大学校、慶尚大学校、慶南大学校、東亜細亜文化財研究院、国立光州博物館、木浦大学校、済州国立博物館などである。調査成果からえた分析結果は以下である。1.縄文時代晩期から弥生時代前期に併行する、韓半島南部青銅器時代前期後半から後期を通じて、斉一的な土器製作技術を有していた。また、青銅器後期において、慶尚南道地域と全羅南道地域に器面調整方法に差異が認められた。2.日本列島の縄文時代晩期には、韓半島南部と全く異なる技術体系を有し、韓半島からの影響を確実に受けるのは弥生時代早期であった。北部九州の弥生時代早期に新たに出現する土器の器形や製作技術は少なくとも慶尚南道地域とは共通するが、韓半島南部そのものの可能性がある土器は非常に少ない。むしろ、韓半島南部と縄文時代晩期の折衷系土器を創出・増加させ、そこに韓半島南部の製作技術が多く認められた。その後、それらが弥生時代前期の士器様式の中心的な器種に変化していくことが明らかになった。3.さらに、韓半島南部の新石器時代晩期から青銅器時代早前期にかけて、土器製作技術の大きな変化が生じていることを指摘した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-10J02869
ID情報
  • 課題番号 : 10J02869
  • 体系的課題番号 : JP10J02869

この研究課題の成果一覧

書籍等出版物

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