共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

ブルーカーボン生態系からの有機炭素の外洋移出・隔離過程の実証技術開発とモデル化

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H03354
配分額
(総額)
16,900,000円
(直接経費)
13,000,000円
(間接経費)
3,900,000円

2018年度はまず浅海域生態系から移出された有機炭素の系外隔離を立証するための方法論としての環境DNA技術の整備を進めた。当初の予定通り、代表的な熱帯性海草3種、マングローブ3種、大型藻類4種に由来する残留有機物の検出を目的としたプローブを確立した。現在のところ、保存状態の良い堆積物であれば約5000年前の試料からも標的DNAを検出できることが分かっているが、同じ植物に由来する有機炭素の量との関係は必ずしも比例関係とならず、隔離有機炭素の定量的評価に課題を残している。一方、予定にはなかったことであるが、堆積物中の貯留有機物を生成した過去の植生を残留DNAから復元するためにサブクローニング法に基づく検出システムを開発し、フィリピンのマングローブ二次林から取得した長期コア試料に適用して有意義な知見を得ることができた。
モデル開発に関しては石西礁湖を対象とした三次元流動場モデルの改良を進めた。鉛直的な水塊構造の動態を精度よく再現できるようになったが、現段階ではまだ堆積物の分配・沈降や再懸濁等の挙動を記述できるところまでは至っていない。
これらの室内作業と並行して、開発中の手法を適用して今後分析を進めることを前提とした現地試料の採集を精力的に行った。6月には石垣島・西表島にて植物試料と予備解析用マングローブ土壌試料を採取、また他の研究課題による調査の機会を利用して、9月にはフィリピン・ブスアンガ島沖合の表層堆積物の面的採取とパナイ島マングローブ林の堆積物柱状試料・マングローブ試料の採取を実施した。地中海沿岸の潟湖Thau Lagoonおよび瀬戸内海大三島沖において、いずれもアマモ場の堆積物コア試料を採集した。採取された試料は、堆積物粒子の表面吸着特性や、炭酸塩堆積物と砕屑性堆積物の違いなどに着目した有機炭素ならびに環境DNA残留特性の解析を進めるべく、必要な分析作業を行っている。

ID情報
  • 課題番号 : 18H03354

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