共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2023年3月

根の成長を最適化する根冠組織の特異的機能とその時空間統御

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
19H03248
体系的課題番号
JP19H03248
配分額
(総額)
17,290,000円
(直接経費)
13,300,000円
(間接経費)
3,990,000円

本年度も、根冠内部の位置に応じて構成細胞が機能を転換させる機構の解明と、時空間的に統御された物質生産と放出経路が根と土壌環境の相互作用に果たす役割の解明に取り組み、以下の成果を得た。
(1) 根冠内の位置に応じて構成細胞が機能を転換させる機構の解明:
根冠の分化と機能発現を制御する3つのNAC転写因子のうち、BRN1とBRN2 (BRN1/2)は根冠の外側2層で特異的に発現し、これらの細胞に特有の分泌経路や生細胞の剥離を冗長的に調節している。BRN1/2の発現は、もう1つのNAC転写因子であるSMBにより正に制御されるが、smb機能欠損変異体においてもBRN1/2レポーターの発現は消失しない。この植物ラインを変異源処理した植物から、BRN1/2レポーターの発現が消失する変異体2系統と、発現が増大する変異体1系統を得た。これらが根冠細胞の剥離や形態にも異常を示すことを見出した。ゲノムリシーケンスにより候補遺伝子を絞り込んだ。
また根冠細胞の最外層への移行に同期した機能転換の過程を、水平光軸型動体トラッキング顕微鏡により詳細に解析し、核、アミロプラスト、液胞の動態変化を可視化した。前年度までの成果とあわせて論文にまとめ、プレプリントとして公開するとともにジャーナルに投稿した。
(2) 時空間的に統御された物質生産と放出経路が根と土壌環境の相互作用に果たす役割の解明:
根冠組織において、病原菌由来の成分を受容するMAMP経路と、植物細胞のダメージを感受するDAMP経路が協調的に作用し、抗菌物質の生合成を促進していることを見出した。これらの成果を学会で発表した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19H03248
ID情報
  • 課題番号 : 19H03248
  • 体系的課題番号 : JP19H03248