2017年4月 - 2021年3月
医薬品有害事象自発報告データのレギュラトリーサイエンスへの応用
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
有害事象自発報告(SRS: spontaneous reporting system)は臨床での医薬品使用実態を反映したリアルワールドデータであり、医薬品開発時の臨床試験からは得られない情報を含む貴重なデータセットである。我々は医薬品医療機器総合機構(PMDA)および米国食品医薬品局(FDA)が公開しているSRSのJapanese Adverse Drug Event Report (JADER)およびFDA Adverse Event Reporting System (FAERS)を用いて、種々の医薬品の有害事象発現プロファイルを明らかとした。平成30年度は、主にSRSデータによる医薬品安全性評価を行った。具体的には、1)白金系抗がん剤の腎障害のリスク因子をtime-to-onset分析およびアソシエーション分析を用いて検討した。アソシエーション分析手法のSRSデータ解析への応用例は少ない。市販後における医薬品の使用は複雑であり,臨床試験とは異なり患者の背景因子が多様である。年齢、性別、併用薬およびその他の患者背景との関連性をアソシエーション分析により支持度およびリフト値を用いて評価することで、特定の薬剤の併用が白金系抗がん剤の腎障害発現に関連していることを示した。2)抗がん剤(パクリタキセル)の先発品とアルブミン懸濁型製剤による有害事象発現プロファイルの違いを検討した。3)疼痛治療薬(プレガバリン)による眠気や転倒リスクを検討した。4)産後うつに関連する医薬品等をFAERSを用いて探索した。5)電子タバコの有害事象の発生状況の調査を行った。6)高齢者の転倒に関連する医薬品のリスク評価を行い、多剤併用(ポリファーマシー: 睡眠薬、降圧薬、オピオイド、SSRIなどの併用)および加齢が転倒に及ぼす影響を明らかとした。さらに、7)日本での新薬申請状況を調査しレギュラトリーサイエンス上の問題点を明らかとするとともに、SRSの報告に、新薬承認の時期が及ぼす影響を検討するための基礎資料を得た。1-7)の研究内容は論文公開している。
- ID情報
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- 課題番号 : 17K08452
- 体系的課題番号 : JP17K08452
この研究課題の成果一覧
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受賞
4論文
28-
Therapeutic Advances in Drug Safety 13 1-12 2022年5月24日 査読有り最終著者責任著者
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Frontiers in Pharmacology, 12 692292 2021年7月 査読有り最終著者責任著者
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Heliyon 7(7) e07429-e07429 2021年6月 査読有り最終著者責任著者
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Die Pharmazie 76 437-443 2021年6月 査読有り最終著者
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Scientific Reports 11(11324) 2021年5月 査読有り最終著者責任著者
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Biological and Pharmaceutical Bulletin 43(12) 1831-1838 2020年12月 査読有り最終著者責任著者
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Pharmacoepidemiology and Drug Safety 29(10) 1279-1294 2020年9月 査読有り最終著者責任著者
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SAGE Open Med 8 1-13 2020年4月 査読有り最終著者責任著者
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薬学雑誌 140(3) 443-448 2020年3月 査読有り
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International Journal of Medical Sciences 17(7) 921-930 2020年 査読有り最終著者責任著者