共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

海水移行時の低水温と栄養状態に着目したサケ稚魚の減耗機構に関する実験的検証

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
18K05801
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

異なる栄養状態と水温条件が海水移行時のサケ稚魚の初期減耗に与える影響を調べるため,2018年,水温条件と給餌・絶食の条件を変えた以下の試験群を設定してサケ稚魚の飼育試験を行った。給餌率をそれぞれ0%(絶食),1%,および3%で5日間飼育した後,それぞれの群を低水温区(4℃),中水温区(7℃),高水温区(10℃)の試験水槽に収容し,3日間の馴致期間を経て5日間の海水飼育を行った。
これらの試験群について,栄養状態の指標として筋肉中のトリグリセリド(TG)含量と肝臓中のグリコーゲン含量を測定した。成長率の指標として血中のインスリン様成長因子-I(IGF-I)量を測定した。海水飼育後のTG含量はいずれの水温区でも淡水飼育時の給餌率が高い群でTG量は高く,肝臓中グリコーゲン含量は高水温・絶食群で高い傾向がみられた。血中IGF-I量は淡水での絶食には差は無かったが,海水馴致時にはいずれの水温でも絶食群でIGF-I濃度が低かった。海水飼育後は絶食による違いはなく,高水温群でIGF-Iが高くなった。
遊泳力の指標として臨界遊泳速度(Ucrit)を測定した。海水飼育後には,低水温試験群の遊泳速度は高水温試験群より有意に低かった。サケ稚魚の海水移行後の遊泳速度は水温に大きく影響を受け,低水温では遊泳速度が低下することが示された。また,淡水生活期の絶食が海水移行後の遊泳速度低下につながることも示されたが,水温が高い場合はその影響が軽減される可能性がある。

ID情報
  • 課題番号 : 18K05801