2021年4月 - 2026年3月
空間的思考を効率化するアナロジー効果の認知メカニズムの解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究 若手研究
人の空間的思考におけるアナロジー効果(物体を人や動物の姿に見立てることでその物体に対する心的な操作が容易になる現象)のメカニズムを解明するために複数の実験を実施した。本年度の主な成果は以下の通りである。(1) アナロジー効果には,物体自体を人の身体に似せることで付与される視覚情報に喚起される受動的過程 (刺激駆動型プロセス) と,物体を人の姿に見立てることができるという知識に誘発される能動的過程 (知識駆動型プロセス) の両方が存在し,実験課題によって分離できることを明らかにした(日本心理学会学術大会優秀発表賞を受賞)。(2) 知識駆動型プロセスによる効率化はオンライン実験でも確認されたが,その効果は従来考えられていたよりも小さいことが明らかになった。(3) 人の身体のアナロジーと動物のアナロジーは,空間的思考に対して見かけ上類似した促進効果をもたらすが,両者のメカニズムは必ずしも同一とは言えないことを明らかにした。これらの研究成果は,アナロジー効果が生起する条件の解明および人の身体図式 (人が持つ身体に関する知識) が果たす役割の解明への第一歩として位置付けられる。
- ID情報
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- 課題番号 : 21K13750
- 体系的課題番号 : JP21K13750
この研究課題の成果一覧
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論文
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Collabra: Psychology 9(1) Article 74785 2023年5月 査読有り筆頭著者責任著者