講演・口頭発表等

2017年12月5日

肥満,非肥満別の各種循環器疾患危険因子による循環器疾患死亡の集団寄与危険割合:NIPPON DATA80の29年追跡結果より

日本循環器病予防学会誌
  • 宮澤伊都子
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  • 三浦克之
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  • 三浦克之
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  • 宮本恵宏
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  • 岡村智教
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  • 東山綾
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  • 辰巳友佳子
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  • 門田文
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  • 門田文
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  • 高嶋直敬
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  • 宮川尚子
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  • 近藤慶子
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  • 佐藤敦
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  • 有馬久富
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  • 岡山明
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  • 上島弘嗣
  • ,
  • 上島弘嗣

開催年月日
2017年12月5日 - 2017年12月5日
記述言語
日本語
会議種別
主催者
(一社)日本循環器病予防学会

【背景】我が国では、2008年より特定健診が開始され、肥満を必須とするメタボリックシンドローム該当者に対する保健指導介入が行われている。残る非肥満に対する有効な介入方法が模索されているが、肥満、非肥満別に循環器疾患危険因子による循環器疾患死亡の集団寄与危険割合を検討した報告は少ない。【目的】循環器疾患危険因子(血圧、血糖、喫煙)による循環器疾患死亡の集団寄与危険割合(Population Attributable Fraction:PAF)を非肥満群、肥満群に分けて検討する。【方法】対象は1980年に実施された循環器疾患基礎調査の受検者を29年間追跡したNIPPON DATA80対象者のうち、40歳〜74歳の男女計6,662人である。肥満の有無と循環器疾患危険因子のカテゴリーを組み合わせて対象者を分類し、"非肥満かつ循環器疾患危険因子正常群"に対する、各群の多変量調整ハザード比とPAFを算出した。PAFはより現在に近い2010年の危険因子の分布でも算出し、1980年との比較を行った。【結果】循環器疾患死亡に対する多変量調整ハザード比(95%信頼区間)は、血圧は正常、正常高値、高血圧1度、高血圧2度以上と上昇するに従い、非肥満群、肥満群ともに上昇を認めた(非肥満かつ高血圧2度以上群:2.10(1.64-2.70)、肥満かつ高血圧2度以上群:2.72(1.95-3.80)。血糖は正常(随時血糖140mg/dl未満)、境界型(140-200mg/dl)、糖尿病域(200mg/dl以上)と上昇するに従い、非肥満群、肥満群ともに上昇を認めた(非肥満かつ糖尿病域群:2.01(1.33-3.03)、肥満かつ糖尿病域群5.08(2.98-8.66)。喫煙は非喫煙、過去喫煙、現在喫煙(≦20本/日、≦21本/日)の順に上昇を認めた(非肥満かつ現在喫煙≦21本/日群:1.94(1.47-2.55)、肥満かつ現在喫煙≧21本/日群:1.98(1.24-3.15)。2010年の危険因子分布を用いた血圧のPAF合計は非肥満群37.2%、肥満群21.7%、血糖のPAF合計は非肥満群14.4%、肥満群16.3%、喫煙のPAF合計は非肥満群7.0%、肥満群0.9%と、いずれにおいても非肥満群のPAFは肥満群と同等もしくは高値を示した。【結論】各種循環器疾患危険因子は非肥満群、肥満群のどちらにおいても循環器疾患死亡リスクと関連していた。PAFは非肥満群の方が肥満群よりも大きい傾向であり、非肥満者に対しても循環器疾患危険因子に対する介入が重要であることが示唆された。(著者抄録)

リンク情報
URL
http://jglobal.jst.go.jp/public/201802219380793833