2020年12月
後天性嚢胞腎随伴性腎細胞癌における糖鎖関連遺伝子の次世代シーケンサー解析
日本透析医会雑誌
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- 巻
- 35
- 号
- 3
- 開始ページ
- 673
- 終了ページ
- 678
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (公社)日本透析医会
透析患者では腎細胞癌(renal cell carcinoma;RCC)の罹患率が非透析例の約15倍に増加する。近年、透析に関連して生じる後天性嚢胞腎(acquired cystic kidney disease;ACKD)を母地とする後天性嚢胞腎随伴性腎細胞癌(acquired cystic disease associated renal cell carcinoma;ACD-RCC)が、WHO腎細胞性腫瘍分類第4版に記載され注目を集めている。ACD-RCCは画像検査での検出が難しく、診断に有用なバイオマーカーが求められている。既存の腫瘍マーカーの多くが癌特異的な糖鎖構造を認識することから、我々は透析腎癌の糖鎖構造解析を進めてきた。この度、平成30年度日本透析医会公募研究助成のもと、ACD-RCCに特徴的な糖鎖遺伝子を見出すべく次世代シーケンサーを用いた遺伝子発現解析を行った。ACD-RCCと透析例のclear cell RCCの癌部における220の糖鎖関連遺伝子発現を比較すると、ACD-RCCではシアル酸やフコースの修飾に関わる糖鎖遺伝子の発現が優位に亢進していた。相補的に進めているTIAかけはし研究の糖鎖解析とも合致する結果であり、本研究の成果をもとに透析例に特異的な糖鎖構造のキャリアタンパク質の同定を行い、透析腎癌、特にACD-RCCの検出に応用可能なバイオマーカーの開発を目指す。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0914-7136
- 医中誌Web ID : 2021106417