2014年6月
【遺伝性消化器癌とその対策】遺伝性癌発症のメカニズム
G.I.Research
- ,
- 巻
- 22
- 号
- 3
- 開始ページ
- 208
- 終了ページ
- 212
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (株)先端医学社
遺伝性癌、とくに消化器癌の分子異常はかなりの部分が解明されている。わが国でもよく遭遇するLynch症候群はMLH1、MSH2などのミスマッチ修復遺伝子が、家族性大腸腺腫症(FAP)はAPC遺伝子が、遺伝性びまん性胃癌(HDGC)はCDH1遺伝子が、それぞれの原因であることが知られている。これらの原因遺伝子は全身のすべての細胞で2つの対立遺伝子のうちの一つに生まれつきの突然変異(生殖細胞突然変異)をもつ。もう一方の健常な対立遺伝子が突然変異やDNAメチル化異常により不活化されることにより、腫瘍形成がはじまる。実験動物を用いた解析では、この段階では早期病変にとどまり、更なる遺伝子異常が蓄積することでさらに悪性度が高まることがわかっている。健常対立遺伝子の変化や更なる遺伝子異常を抑制することで、遺伝制癌の発症を遅らせられる可能性がある。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0918-9408
- 医中誌Web ID : 2014245955