論文

2009年12月

下肢骨の骨端部に及ぶ良性骨腫瘍に対する掻爬とβリン酸三カルシウム移植による治療経験

Orthopaedic Ceramic Implants
  • 生越 章
  • ,
  • 有泉 高志
  • ,
  • 川島 寛之
  • ,
  • 堀田 哲夫
  • ,
  • 遠藤 直人

28
開始ページ
27
終了ページ
31
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
整形外科バイオマテリアル研究会

下肢骨端の良性腫瘍に対する掻爬とβ-リン酸三カルシウム(β-TCP)移植の効果を後ろ向きに調べた。患者10名(男7名、女3名、手術時平均29歳)を対象とした。組織型は骨巨細胞腫が7名、軟骨芽細胞腫が3名であった。まず病巣に大きな開窓を施し、病巣を掻爬後、アルゴンビームレーザーと電気メスで掻爬壁を焼灼した。その後骨髄液を添加したβ-TCPを移植した。大腿骨頭例には血管付腸骨移植を、骨皮質の欠損した膝関節症例には遊離腸骨移植を実施した。手術後に再発を認めず、いずれも術後平均3ヵ月目には移植β-TCPと周囲正常骨の境界が不明瞭となり、移植β-TCPは自家骨へと置換されていた。関節可動域は健側と同程度に回復し、両側変形性膝関節症の既往を有する1名以外は疼痛もなく日常生活を送っている。以上より、下肢関節周辺に発生した骨腫瘍に対するβ-TCP移植は長期に安定した成績を期待できる治療法である。

ID情報
  • ISSN : 0289-2855
  • 医中誌Web ID : 2010074349

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