共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

天然ステルスエキソソームの解析とデリバリーキャリア開発への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H04533
体系的課題番号
JP20H04533
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
17,680,000円
(直接経費)
13,600,000円
(間接経費)
4,080,000円

細胞から分泌される膜小胞であるエキソソームは脂質二重膜により形成された細胞外小胞であり、その生理機能に注目が集まるとともにデリバリー応用が期待される。これまでに、培養細胞から回収したエキソソームの大部分はマクロファージ等の貪食細胞に取り込まれるためにその血中半減期は数分程度と極めて短いことが明らかとなっていた。最近、研究代表者らは、エキソソームの中にはマクロファージに認識されにくく、血中半減期が数時間~数日と非常に長いエキソソームが存在する可能性を示す結果を得た。本申請ではそのようなエキソソームを天然ステルスエキソソーム(NSExo)と名付け、その存在と物性・動態特性等について解析する。これらの検討を通じて、新規の細胞外小胞NSExoの詳細について明らかにするとともに、デリバリーキャリアの開発研究を行う。
本年度は、細胞の培養上清から回収した負電荷の少ないエキソソーム(NSExo)について、そのタンパク質組成を検討した。その結果、この高い血中滞留性を示すNSExoはホスファチジルセリン結合タンパク質が少ないことを見出した。また、ホスファチジルセリン含量についても検討したところ、その含量は少ないことを見出した。
肝臓への高効率遺伝子導入法であるハイドロダイナミクス法を用いて、gLucとエキソソーム移行性タンパク質との融合タンパク質の遺伝子を導入し、導入したマウスの血中のエキソソームを回収したところ、血中に存在する肝細胞由来のエキソソームは血中滞留性の高いNSExo画分であることを見出していた。そこで、マクロファージを除去したマウスにおいて同様の検討を行ったところ、血中のNSExoの存在比が大幅に低下した。この結果より、血中においてNSExoはマクロファージに認識されづらいエキソソームであるために、血中で優勢なエキソソーム画分となることを見出した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H04533
ID情報
  • 課題番号 : 20H04533
  • 体系的課題番号 : JP20H04533