2018年4月 - 2021年3月
科学史叙述の新モデル構築に向けて─20世紀フランス思想における科学史研究の再検討
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本研究は、20世紀の科学史研究に多大な影響を与えた、G・バシュラールからG・カンギレムを経てM・フーコーに至るフランスの科学思想史の系譜を精査するとともに、この系譜に連なる一連の科学史的業績をいわば叩き台にして、18-19世紀から現代に至る科学的知の歴史的な展開及び曲折を記述するにふさわしい新たな科学史叙述の可能性を探る試みである。「精神医学研究班」「生物学・医学研究班」「数学・統計学研究班」の三つのサブ・グループから成り、それぞれのサブ・グループが同時並行的に研究を進めつつ、研究会の場を通じて相互の成果を共有し、撚り合わせてゆくスタイルをとる。2019年度は、前年度に引き続き、京都大学人文科学研究所における共同研究「フーコー研究──人文科学の再批判と新展開」とタイアップしつつ、その研究会(例会)を利用して、「数学・統計学研究班」からは分担者・隠岐が、フーコーの「知の考古学」における数学の位置づけの例外性に、この考古学プロジェクトの破綻を見るダヴィド・ラブアンの学説を検討する発表、「精神医学研究班」からは代表者・立木が、『臨床医学の誕生』においてフーコーが提示した「まなざし」と言語の関係を再考する発表をそれぞれ行った。また、本研究の成果を含む業績として、「生物学・医学研究班」を代表する分担者・田中祐理子が著書『病む、生きる、身体の歴史──近代病理学の哲学』(青土社)を上梓する一方、岩波書店『思想』9月号の特集「未完のフーコー」に、隠岐がラブアン著「数学という例外」の翻訳を、立木が論文「まなざし、鏡、窓──フーコーとラカンの『侍女たち』(前)」を発表した(同論文の後編は同誌12月号)。さらに、1月には、フーコー研究の国際的な第一人者のひとりフィリップ・サボ(リール大学副学長、ミシェル・フーコーセンター所長)を招き、公開セミナー「ミシェル・フーコーによる真理とフィクション」を開催した。
- ID情報
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- 課題番号 : 18K00257
- 体系的課題番号 : JP18K00257
この研究課題の成果一覧
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論文
1-
En finir avec la psychanalyse ? 203-212 2023年4月
書籍等出版物
4-
2023年4月
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講談社(選書メチエ Le livre) 2023年1月 (ISBN: 9784065239797)
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水声社 2021年3月
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水声社 2021年3月