共同研究・競争的資金等の研究課題

2003年 - 2004年

ベントDNAによる低温依存性転写促進機構の構造生物学的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
15590404
体系的課題番号
JP15590404
配分額
(総額)
3,600,000円
(直接経費)
3,600,000円

本研究の目的は、ウェルシュ菌α毒素(ホスホリパーゼC)遺伝子プロモーター上流のベントDNA (phased A-tracts)とRNAポリメラーゼ(RNAP)αサブユニット(315aa)がそのC末端ドメイン(αCTD,79aa)を介してどのように結合しているのか立体構造を明らかにすることである。そのためには、phased A-tracts DNA断片(33bp)とRNAPαサブユニットまたはαCTDとの共結晶が必要となる。まずウェルシュ菌RNAPαサブユニットとαCTDのN末端にHis-tagを付加し、大腸菌内で大量合成させ、His-tagを用いて精製した。両タンパク質とも結晶化できるほど精製できたが、最終精製量は、1リットル当たり数mgと少なく、結晶化に必要な50mgには及ばなかった。Joshua Sakon博士(米国:University of Arkansas)らとの討論で、phased A-tracts DNAとαサブユニットまたはαCTDの結合体が共結晶化できるほど低温(25℃)で安定した構造を保っているか調べる必要があることを指摘された。この問題点の解消や大量精製系の確立が進まず残念ながら結晶化までは至らなかった。Phased A-tractsとαCTDとの相互作用に関与するアミノ酸の同定するために、RNAP(α2、β、β'、σ)の再構成系の確立を試みた。封入体となったβ、β'サブユニットを尿素で、σ因子を塩酸グアニジンで可溶化し再構成すると、わずかながら転写活性がある標品が得られた。αサブユニットN末端ドメインを用いた時にも同様の活性が認められた。このことは、αCTDにアミノ酸置換を施した場合でも再構成が可能であることを示唆している。このRNAPの再構成法により、αCTDを介した転写調節メカニズムの研究が飛躍的に進展することが期待される。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-15590404
ID情報
  • 課題番号 : 15590404
  • 体系的課題番号 : JP15590404