講演・口頭発表等

2019年6月

2-Mercaptobenzimidazole (MBI)及びメチル誘導体のラット肝ミクロソームによる代謝に関する研究

第46回日本毒性学会学術年会
  • 宮島 敦子
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  • 酒見 和枝
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  • 宇佐見 誠
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  • 満長 克祥
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  • 入江 智彦
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  • 大野 泰雄
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  • 簾内 桃子

記述言語
日本語
会議種別
ポスター発表

In vitro metabolism of 2-mercaptobenzimidazole and its methyl derivatives in rat liver microsomes 【目的】2-Mercaptobenzimidazole (MBI)及びそのメチル誘導体(MeMBI, 4-MeMBIと5-MeMBIの1:1混合物)は、ゴム酸化防止剤等として広く使用されている。MBI及びMeMBIは、ラットへの反復経口投与により、甲状腺毒性及び肝毒性を示し、肝ミクロソーム(MS)の薬物代謝活性を誘導又は阻害する。また、MeMBIの肝毒性には、4-MeMBI又は5-MeMBI単独投与に比べて弱くなる拮抗作用が認められる。本研究では、この拮抗作用における薬物代謝の関与について検討するため、ラット肝MSによるMBI、4-MeMBI及び5-MeMBIの代謝を調べた。 【方法】被験物質を基質としてラット肝MSとインキュベートし、反応終了後、基質残存量をHPLCにより分析した。チトクロームP450 (CYP)の関与について検討するため、CYPの非選択的阻害剤であるSKF-525Aを用いて検討した。さらにCYP誘導剤(β-ナフトフラボン(β-NF)、フェノバルビタール(PB)、イソニアジド(Iso))処理ラットの肝MSを用い比較した。 【結果と考察】肝MSによりMBI、4-MeMBI及び5-MeMBIは同程度代謝された。SKF-525Aによる代謝阻害作用の強さは、MBI>4-MeMBI>5-MeMBIの順で認められた。CYP誘導剤処理ラット肝MSを用いた場合、MBIでは、β-NF処理MSにおける代謝量が多かった。4-MeMBI及び5-MeMBIでは、PB処理MSにおける代謝量が多く、4-MeMBIの代謝量は5-MeMBIの約2倍であった。これらの結果からMBI及びMeMBIはCYPにより代謝されると考えられた。また、5-MeMBI及びPBはCYP2Bを誘導することから、4-MeMBIと5-MeMBIの拮抗作用には、5-MeMBIに誘導されたCYP2Bによる4-MeMBIの代謝が関与すると考えられた。