論文

査読有り
2018年

完全無塩素漂白による溶解パルプの調製.広葉樹材シリンギル・グアイアシルリグニンの影響

紙パ技協誌
  • アヨブ, サラゲイ
  • ,
  • アグスタ
  • ,
  • サモドラ プトラ
  • ,
  • ロニ, マルヤナ
  • ,
  • 梶山, 幹夫
  • ,
  • 大井, 洋

72
10
開始ページ
1176
終了ページ
1184
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
DOI
10.2524/jtappij.72.1176
出版者・発行元
紙パルプ技術協会

<p>前加水分解・クラフト蒸解と完全無塩素(TCF)漂白法によって溶解パルプを製造するにあたり,四種類の広葉樹材の木材成分とリグニン構造を比較し,蒸解・漂白特性を調べた。TCF漂白は,酸素漂白(O)後に,オゾンより反応選択性が良いと考えられるモノ過硫酸(Psa)を用い,さらに過酸化水素添加アルカリ抽出(Ep)を用いるO-Psa-Ep-Psa-Epシーケンスである。広葉樹材リグニン構造の特徴は,リグニンからシリングアルデヒド(Sa)とバニリン(Va)を与えるニトロベンゼン酸化法によって把握した。SaのVaに対するモル比をS/V比とすると,ユーカリ・グロブラス(Eucalyptus globulus)材は四種の中で最も高いS/V比5.81を与え,SaとVaとの合計収率も最も高い3.04mmol/g-ligninであった。一方,アカシア交雑種(Acacia hybrid mangium and auriculiformis)材のS/V比およびSaとVaの合計収率は最も低かった。ユーカリ・グロブラス材からは,白色度90.1% ISO,粘度7.0mPa·s,重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)がそれぞれ3.04×105g/molと5.56×104g/mol:分散性Mw/Mn=5.47,α-セルロース含有量94.2%,灰分0.1%の高品質の溶解パルプが得られた。良い結果が得られたことは,ユーカリ・グロブラス材は他の材よりも高いS/V比で,縮合型リグニン構造が少ないことに起因している。</p>

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.2524/jtappij.72.1176
ID情報
  • DOI : 10.2524/jtappij.72.1176
  • ISSN : 0022-815X

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