論文

2017年11月30日

「玄宗と楊貴妃の物語を伝えた『場』」

『新しい漢字漢文教育』

第65号
開始ページ
16
終了ページ
26
出版者・発行元
全国漢文教育学会

白居易の「長恨歌」と陳鴻の「長恨伝」は、玄宗皇帝と楊貴妃の悲劇を語り伝えられる物語として周知の作品である。しかし、ややもすれば作品は白居易の創作と思われる嫌いがある。従来、国家を混乱に陥れた「尤物」として描かれ、乱の最中馬嵬駅で殺された楊貴妃が仙界での命を得て、玄宗の使者と会う物語はじつは「開元の遺民」と呼ばれる当時を知悉する人々の楊貴妃への思い入れ、すなわち楊貴妃を「死」から救い、不滅の「生」を与えようとした思いから誕生したのではないかとの仮説を立て、論証した。とくに当時玄宗の近衛兵として仕えた…

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