2009年3月
『最後の人間』におけるメアリ―・シェリーの政治観-共和制イングランドの3人の護国卿について
武蔵野大学文学部紀要
- 巻
- 号
- 第10号
- 開始ページ
- 27-35
- 終了ページ
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 速報,短報,研究ノート等(大学,研究機関紀要)
1826年に出版された『最後の人間』は、作者が洞窟探検時に古代ギリシアの巫女シビルの予言が書かれた葉を発見し、解読、編集した物語という設定である。舞台は2073年以降の民主制イングランド、王制は廃止され、王党、貴族党、民主党から選挙によって、いずれかの元首が選ばれる国になっている。同じ頃、東方より疫病が流行し、次々に国は滅んでゆく。作者は国の存亡がかかっている時、党派の違いでそれぞれの護国卿がどのような態度を取るのか、そして国家元首にふさわしい人物に必要な人格はいかなるものかを考察する。本稿では、この観点からメアリーも政治観を分析する。